8/4,5,11,12
異端するフィルムー現在に生きる神代の視線
日活がそれまでのアクションからロマンポルノ路線を打ち出したのが1971年。数々の“官能プログラム・ピクチュア”が制作された。その存在は日本映画の中でも極めて異色であり突出している。神代辰巳が監督として開花したのはこのロマンポルノであった。女性もスタッフも震えながら撮ったという全くの白紙から始まったロマンポルノ。劣悪な条件を逆手にとった神代辰巳は水を得た魚のように素晴らしい作品を次々と生みだすことになる。脚本を解体して自らのイメージを頼りに再構築していく。リアルに時には滑稽に。何よりも彼自身が男と女の営みを知りつくしているからこそ、あの濃厚でエロチックな性描写が生きてくるのだ。全編を漂う脱力感と論理的な映像、それを増幅させる猥歌。日活は神代を頂点としてその作品群の質を高めたと言っても過言ではない。
また脚本家としての才能も手伝って、他社で一般映画を作ることも神代の重要な一面となった。現在活躍している若手監督の中にもポルノ出身者は多くいる。その先陣として神代辰巳は日本の映画界に永遠に記憶されるべき騎手的存在なのである。
四畳半襖の下張り / 青春の蹉跌 / 一条さゆり濡れた欲情 / 赫い髪の女
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