『香港の夜 A NIGHT IN HONGKONG』写真

©TOHO CO.,LTD.

7月13日(水) 〜19日(火)

香港の夜 A NIGHT IN HONGKONG

1961年(S36)/東宝、キャセイ・オーガニゼーション/カラー/118分

■監督:千葉泰樹/脚本:井手俊郎/撮影:西垣六郎/美術:河東安英、費伯夷/音楽:松井八郎
■出演:宝田明、司葉子、尤敏、草笛光子、木暮実千代、馬力、王引、浜美枝、小泉博、上原謙、加東大介、土屋嘉男、堺左千夫

東宝と香港の映画会社の提携作品。国籍の違う男女の恋物語はお馴染み『慕情』が下敷き。中国人ヒロインの生母探しや、男をめぐる三角関係といった挿話が絡むが、和製メロ映画のジメジメ感がなく、あっさりした舌ざわりなのが井手タッチ。

『海の情事に賭けろ』写真

©日活

7月13日(水) 〜19日(火)

海の情事に賭けろ

1960年(S35)/日活/カラー/83分

■監督:野口博志/原作:長光太/脚本:滝口速太、柳瀬観/撮影:永塚一栄/美術:小池一美/音楽:鏑木創
■出演:赤木圭一郎、中原早苗、笹森礼子、南田洋子、三島雅夫、近藤宏、高品格、高野由美、待田京介

これも井手俊郎の筆だったとは! 夏、ヨット、恋、ギャング、キャバレー、銃撃戦と道具立ては日活活劇の定番。早逝した赤木が例によって影のある青年を。彼に横恋慕する中原早苗に井手のスパイスがかかって。珍しい井手のアクション作。

『誘惑』写真

©日活

7月17日(日) 〜19日(火)

誘惑

1957年(S32)/日活/白黒/94分 
○東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

■監督:中平康/原作:伊藤整/脚本:大橋参吉/撮影:山崎善弘/美術:松山崇/音楽:黛敏郎
■出演:千田是也、左幸子、葉山良二、芦川いづみ、安井昌二、渡辺美佐子、轟夕起子、中原早苗、二谷英明、宍戸錠、小沢昭一

銀座の画廊を舞台に、奇妙な若手画家たちと経営者の中年男の恋模様が綴られる。才気あふれる中平演出と軽妙洒脱な井手脚本の息がぴたりと合った、ソフィスティケイテッド・コメディの傑作。井手の筆名の大橋はこの映画の小沢昭一の役名。

『こんにちわ20才』写真

©日活

7月17日(日) 〜23日(土)

こんにちわ20才

1964年(S39)/日活/カラー/88分

■監督:森永健次郎/原作:石坂洋次郎/脚本:井手俊郎/撮影:松橋梅夫/美術:小池一美/音楽:渡辺宙明
■出演:吉永小百合、高橋英樹、轟夕起子、笹森礼子、田代みどり、和田浩治、桂小金治、藤村有弘、清水将夫

間に岡本喜八のロカビリー版をはさんだ『若い娘たち』 3度目の映画化。日活らしく、ぽんぽんぽんぽん若い男女が言い合う。小百合と英樹の息も合って、今作ではデュエットも披露。終盤のたたみかけるような台詞のやりとりが井手らしい。

『古都』写真

©1963 松竹株式会社

7月20日(水) 〜23日(土)、27日(水) 〜30日(土)

古都

1963年(S38)/松竹京都/カラー/105分

■監督:中村登/原作:川端康成/脚本:権藤利英/撮影:成島東一郎/美術:大角純一/音楽:武満徹
■出演:岩下志麻、吉田輝雄、早川保、長門裕之、環三千世、千之赫子、浪花千栄子、宮口精二、東野英治郎、柳永二郎

時代の波に押し寄せられて滅びゆく京都。そこに生きる美しい双生児の姉妹。原作の幻のように儚い娘たちが、映画では自立する女となって生きる。捨て子だった娘の養父に対する秘かな想いが裏に込められて。成島東一郎の撮影も見事な佳品。

『愛情の決算』写真

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7月20日(水) 〜26日(火)

愛情の決算

1956年(S31)/東宝/白黒/112分

■監督:佐分利信/原作:今日出海/脚本:井手俊郎/撮影:山田一夫/美術:北猛夫、清水喜代志/音楽:團伊玖磨
■出演:原節子、佐分利信、三船敏郎、八千草薫、小林桂樹、田中春男、藤間紫、浜田百合子、南美江

戦中をひきずったままの夫と、戦後を思うままに生きようとする妻。その両者のズレと葛藤を描く井手脚本は、成瀬の微温的夫婦映画に抗しているようで。原節子の強さを引き出し、自分はダメ夫を演じた佐分利が、演出も含めて大人の風格。

『河内カルメン』写真

©日活

7月20日(水) 〜26日(火)

河内カルメン

1966年(S41)/日活/白黒/89分

■監督:鈴木清順/原作:今東光/脚本:三木克巳/撮影:峰重義/美術:木村威夫/音楽:小杉太一郎
■出演:野川由美子、和田浩治、川地民夫、宮城千賀子、伊藤るり子、松尾嘉代、楠侑子、桑山正一、佐野浅夫、嵯峨善兵

清順と井手の顔合わせは意外。田舎出の野川が、都会の波にもまれてベッピンになっていく。大阪のおっちゃん佐野との同棲場面、その清順演出の味わいに、井手は舌を巻いている。川地とのセイケツな関係も面白く、野川の魅力全開の好篇。

『河のほとりで』写真

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7月24日(日) 〜26日(火)

河のほとりで

1962年(S37)/東宝/カラー/116分 
○東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

■監督:千葉泰樹/原作:石坂洋次郎/脚本:井手俊郎/撮影:西垣六郎/美術:河東安英/音楽:黛敏郎
■出演:加山雄三、星由里子、草笛光子、加東大介、山村聰、淡島千景、池内淳子、小林桂樹、東野英治郎、有島一郎

山村聰が偶然、別れた妻淡島千景と遭遇。双方、胸をときめかせ、山村の今の妻草笛光子がやきもきする。この親世代の話に加山=星の若者世代の恋愛話が絡む。青春組より中年組の方が、けっこう不良で自由奔放というところに井手らしさが。

『四つの恋の物語』写真

©日活

7月24日(日) 〜30日(土)

四つの恋の物語

1965年(S40)/日活/カラー/89分

■監督:西河克己/原作:源氏鶏太/脚本:三木克巳/撮影:岩佐一泉/美術:佐谷晃能/音楽:池田正義
■出演:吉永小百合、芦川いづみ、和泉雅子、十朱幸代、笠智衆、浜田光夫、関口宏、藤竜也、浜川智子、白木マリ

大映『家庭の事情』の再映画化。日活若手女優競演のお正月作品で、小百合をファザコンに仕立てたのは井手のアイディア。笠智衆との間にちらり近親相姦的ムードを匂わせてるのは小津を意識?女に迫られてヤニ下がる笠の演技がご愛嬌。

text by 北里宇一郎(脚本家)

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