5月2日(日) 〜4日(火)

白鳥の歌なんか聞えない

1972年(S47)/東宝/カラー/91分

『白鳥の歌なんか聞えない』写真

©東宝

■監督:渡辺邦彦/原作:庄司薫/脚本:桂千穂/撮影:中井朝一/美術:薩谷和夫/音楽:真鍋理一郎
■出演:岡田裕介、本田みちこ、加賀まりこ、細川俊之、南美江、文野朋子、菅原一高

コンクール入賞作を読んだプロデューサーがぜひ桂にと指名した念願の単独デビュー作。原作は庄司薫の青春小説だが、白鳥の歌は死の歌だ、と若い男女に忍びよる死の影を加賀まりこに象徴させる。この死の影は桂の青春ものには常に潜み続けた。

5月2日(日) 〜8日(土)

薔薇の標的

1972年(S47)/東京映画/カラー/94分

『薔薇の標的』写真

©東宝

■監督:西村潔/脚本:白坂依志夫、桂千穂/撮影:原一民/美術:村木忍/音楽:A・ヴィヴァルディ
■出演:加山雄三、チェン・チェン、岡田英次、トビー門口、ロルフ・ジェサー、ユセフ・オスマン

デビュー作は師匠白坂との共作。『狙撃』の黒魔術的な部分を強調したものをという発注で白坂が桂を呼び初稿を書かせた。監督が脚本を書き換えた結果、初号を観た桂は「変な女に童貞を奪われた感じ」と白坂に語った。

5月2日(日) 〜8日(土)

大江戸性盗伝 ─女斬り─

1973年(S48)/日活/カラー/71分

『大江戸性盗伝 ─女斬り─』写真

©日活

■監督:藤井克彦/脚本:桂千穂/撮影:前田米造/美術:徳田博/音楽:坂田晃一
■出演:小川節子、梢ひとみ、宮下順子、江角英明、林美樹、五條博、宝京子、小森道子、桂小かん、高橋明

時代劇の企画をと会社に言われジェームズ・ハドリー・チェイスをイタダキ。般若の面の侍が娘を襲い片っ端から殺していく。猟奇とミステリーと連続暴行。これを書いたから後の暴行ものの数々が書けた雛形となる作品。

5月5日(水) 〜11日(火)

蔵の中

1981年(S56)/角川春樹事務所/カラー/101分

『蔵の中』写真

©KADOKAWA 1981

■監督・撮影:高林陽一/原作:横溝正史/脚本:桂千穂/撮影:津田宗之/美術:井川徳道/音楽:桃山晴衣
■出演:山中康仁、松原留美子、亜湖、小林加奈枝、きたむらあきこ、中尾彬、吉行和子

雨の中、傘に落ちてくる蛇。そこから現実と虚構、男と女を行き来する幻想的な世界に迷い込む。姉と弟の禁断の行為はシスコンの表出か。遠眼鏡で覗き込んだ先に見える姿に刺激され自らの世界が歪んでいく桂版『裏窓』。

5月5日(水) 〜15日(土)

NEW

色情妻 肉の誘惑

1976年(S51)/日活/カラー/72分

『色情妻 肉の誘惑』写真

©日活

■監督:西村昭五郎/脚本:桂千穂/撮影:前田米造/美術:徳田博/音楽:月見里太一
■出演:松永てるほ、水城ゆう、渡辺とく子、坂本長利、丹古母鬼馬二、影山英俊、山田克朗、溝口拳

貞淑な妻がジプシーの占い師の予言で悪夢に迷い込む。その性と死の傍には常にタロットカードが。色情妻となる女は果たしてマクベスかファウストか。「脚本で観る日本映画史」で上映して欲しいと言い続けた本人お気に入りの一本。

5月9日(日) 〜11日(火)

ズームアップ 暴行現場

1979年(S54)/にっかつ/カラー/66分 ○国立映画アーカイブ所蔵作品

『ズームアップ 暴行現場』写真

©日活

■監督:小原宏裕/脚本:桂千穂/撮影:前田米造/美術:川船夏夫/音楽:ジョージ大塚カルテット
■出演:宮井えりな、吉沢由起、佐竹一男、浜崎まや、梓ようこ、浜口竜哉、佐藤了一

秘書が憧れの上司と結婚するが不満を抱いて浮気。そこに暴行切り裂きジャックが通り魔として現れる。エンターテイメントとレイプとホームドラマの石がぴたりとはまった会心の脚本と語る。某女性脚本家がバイクの吹き替えで出演。

5月9日(日) 〜15日(土)

暴行切り裂きジャック

1976年(S51)/日活/カラー/71分

『暴行切り裂きジャック』写真

©日活

■監督:長谷部安春/脚本:桂千穂/撮影:森勝/美術:川崎軍二/音楽:月見里太一
■出演:桂たまき、林ゆたか、山科ゆり、岡本麗、潤まり、森みどり、梓ようこ、吉井亜樹子、飯田紅子、堺美紀子

長谷部監督と初めて組んだ代表作。アメリカ映画『拳銃魔』でいきたいと言う桂に監督が同意。危険な女と出会う事で男は次々と女をナイフで殺していくシリアルキラーとなる。桂曰く女をみんな殺すのはコンプレックスと裏返しのフェミニズム。

5月12日(水) 〜18日(火)

幻魔大戦

1983年(S58)/角川春樹事務所/カラー/131分

『幻魔大戦』写真

©KADOKAWA 1983

■監督:りんたろう/原作:平井和正、石森章太郎/脚本:桂千穂、内藤誠、真崎守/キャラクターデザイン:大友克洋/音楽監督:キース・エマーソン
■出演:古谷徹、小山茉美、池田昌子、美輪明宏

「SFからSMまで」を自称する桂のSFの代表作。桂が角川春樹に映画化を進言。絶対悪幻魔と超能力者の闘いが宗教小説になってしまう原作の映画的な所だけを抽出し脚本化。クライマックスの「円型誘導!」からの映像と音楽の洪水はもはやオペラ。

5月12日(水) 〜18日(火)

㊙ハネムーン 暴行列車

1977年(S52)/日活/カラー/72分

『まる秘ハネムーン 暴行列車』写真

©日活

■監督・脚本:長谷部安春/脚本:桂千穂/撮影:森勝/美術:菊川芳江/音楽:坂田晃一
■出演:八城夏子、渡辺とく子、松永てるほ、阿部徳昭、島村謙次、十時じゅん、加藤寿、雪丘恵介、影山英俊

強盗二人が逃げ出した花嫁と貨物列車で旅をする。強盗は花嫁に優しくカタギは鬼畜。同性愛的描写もまさにアメリカンニューシネマであり、ポルノでありつつ日活ニューアクション。桂曰く「『シベリア超特急』の水野晴郎に見せてやりたい」。

解説:日本シナリオ作家協会

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