「岡崎宏三キャメラマン人生」上映期間:2005年4月3日(日)〜4月30日(土)

【料金】

一般…1,200円
学生・シニア…1,000円
会員…800円
水曜サービスデー…1,000円均一

●各回定員入れ替え制
●午前10時15分より当日の全回分の整理番号付き入場券を発売します。定員48名になり次第、締め切らせていただきます。
●作品により画像、音声が必ずしも良好でない場合がございます。あらかじめご了承下さい。
[ラピュタ阿佐ヶ谷]

【上映スケジュール】

4/3[日]〜4/5[火]
12:30 喜劇 とんかつ一代
2:30 女の学校
4:30 吾輩は猫である
7:00 喜劇 とんかつ一代
4/6[水]〜4/9[土]
12:30 女の学校
2:40 吾輩は猫である
5:00 化石
4/10[日]〜4/12[火]
12:30 化石
4:30 大当り狸御殿
6:30 御用金
4/13[水]〜4/16[土]
12:30 大当り狸御殿
2:30 御用金
5:00 波影
7:10 のんき夫婦
4/17[日]〜4/19[火]
12:40 波影
2:50 のんき夫婦
4:50 フランキーの僕は三人前
6:50 六條ゆきやま紬
4/20[水]〜4/23[土]
12:40 六條ゆきやま紬
3:00 華麗なる一族
7:00 フランキーの僕は三人前
4/24[日]〜4/26[火]
12:30 華麗なる一族
4:30 夜霧の決闘
6:40 グラマ島の誘惑
4/27[水]〜4/30[土]
12:30 恍惚の人
2:40 夜霧の決闘
4:50 グラマ島の誘惑
7:00 恍惚の人

岡崎宏三/1919年東京都生まれ。35年新興キネマ大泉撮影所に入社。青島順一郎キャメラマンに師事。40年『愛の記念日』(伊奈精一監督)で一本立ち。53年、J・フォン・スタンバーグ監督『アナタハン』のキャメラに起用され、決定的な影響を受ける。その後、川島雄三、豊田四郎、小林正樹ら数多くの名監督と様々な作品を手掛け、海外の監督と組んだ作品も多い。05年1月13日逝去、享年86歳。生涯現役を貫き、03年、アフガニスタンで撮影した『アイ・ラヴ・ピース』が遺作となった。

【上映作品紹介】

4.3[日]― 4.5[火]

喜劇 とんかつ一代

「監督と一度グルメ映画を作ろうって、話してたんだ」

1963年(S38)/東京映画/カラー/94分
■監督:川島雄三/脚本:柳沢類寿/原作:八住利雄/美術:小野友滋/音楽:松井八郎 ■出演:森繁久弥、フランキー堺、加東大介、三木のり平、淡島千景

文芸物からドタバタ喜劇まで傑作ぞろいの川島、岡崎コンビ最後の作品。食にこだわる遊び心が実に軽快。「全国とんかつ連盟」全面協力。食欲増進まちがいなし。

4.3[日]― 4.9[土]

女の学校

「三日でいいから来てくれって、宝塚に。それが六年も居ることにね」

1955年(S30)/宝塚映画/白黒/103分
■監督:佐伯幸三/脚本:中川順夫/潤色:沢村勉/原作:大林清/美術:西田善一/音楽:河村篤二 ■出演:鶴田浩二、寿美花代、雪村いづみ、扇千景、環三千世、水谷八重子

監督に自宅まで説得に来られて岡崎は東京から東宝系列の宝塚映画と契約。芸術高校に赴任した女教師と女子学生たちの青春模様。宝塚のガールズパワーが爽やかで魅力的。

4.3[日]― 4.9[土]

吾輩は猫である

「市川さん、開口一番『下手に撮ってくれ』と、きた」

1975年(S50)/芸苑社/カラー/115分
■製作:佐藤一郎、市川喜一、森岡道夫/監督:市川崑/脚本:八住利雄/原作:夏目漱石/美術:西岡善信 ■出演:仲代達矢、伊丹十三、島田陽子、緑魔子、岡田茉莉子、ティム(猫)

光と影の巨匠・市川崑と唯一組んだのは漱石文学のオールスター映画化。岡崎は猫の目となるべく、ワイドレンズと数々の改造手持ちカメラを多用。「猫の奔放さ」の再現に苦心した。

4.6[水]― 4.12[火]

化石

「おれの葬式の時には『化石』を流しておいてくれよな…」

1975年(S50)/俳優座映画放送=四騎の会/カラー/200分
■監督:小林正樹/脚本:稲垣俊、よしだたけし/原作:井上靖/音楽:武満徹 ■出演:佐分利信、岸恵子、栗原小巻、井川比佐志

死の宣告を受けた男の残された日常。ヨーロッパと日本を舞台に男の心理を緻密な描写で描く。テレビ用に16ミリで撮影され、のちに35ミリにブローアップされた。自身が認める代表作。

4.10[日]― 4.16[土]

大当り狸御殿

「なんせお嬢の全盛期。一日何時間かしか撮影できない」

1958年(S33)/宝塚映画/カラー/98分
■監督:佐伯幸三/脚本:中田竜雄/原作:木村恵吾/美術:小川一夫/音楽:松井八郎/照明:下村一夫 ■出演:美空ひばり、雪村いづみ、山田真ニ、白川由美、淡路恵子

最近チャン・ツィイー主演でも映画化されたご存じ「狸御殿」物の1作。政略結婚を嫌がって城を飛び出したきぬた姫。ところが姫そっくりの女中が城に現れて。

4.10[日]― 4.16[土]

御用金

「アメリカでこれ、西部劇に逆にリメイクしたんだ」

1969年(S44)/フジテレビ=東京映画/カラー/124分
■監督・脚本:五社英雄/脚本:田坂啓/美術:小島基司/音楽:佐藤勝 ■出演:仲代達矢、中村錦之助、丹波哲郎、浅丘ルリ子、司葉子、東野英治郎

欧米ではカルト的に評価の高いアクション時代劇。佐渡から運搬される金を奪取する謀略とそれを阻止しようとする謎の男。仲代、丹波の雪中対決は見事。

4.13[水]― 4.19[火]

波影

「北陸のあの重さはね、やっぱりモノクロがいい」

1965年(S40)/東京映画/白黒/107分
■監督:豊田四郎/脚本:八住利雄/原作:水上勉/美術:伊藤憙朔/音楽:芥川也寸志 ■出演:若尾文子、中村賀津雄、大空真弓、春川ますみ、乙羽信子

豊田作品を担当したことで岡崎は「カメラマンとして成長した」とたびたび述懐。薄幸の芸者の一生を日本海の風景をバックに描く。毎日コンクール撮影賞。白黒の自薦ベスト作。

4.13[水]― 4.19[火]

のんき夫婦

「典型的な東宝スタイルの監督。処理が早くてね」

1956年(S31)/東京映画/白黒/95分
■製作:山崎喜暉/監督:杉江敏男/脚本:新藤兼人/美術:小島基司/音楽:神津善行 ■出演:小林桂樹、久慈あさみ、加東大介、淡路恵子、多々良純

ある港町を舞台にした柔道家と飲み屋のお女将のメロドラマ。岡崎は東宝の系列だった宝塚、東京映画と年間の本数契約を結び、このころ年平均7本を撮影。

4.17[日]― 4.23[土]

フランキーの僕は三人前

「春海さんて個性的でね。善光寺の坊さんで松竹出身で」

1958年(S33)/東京映画/白黒/84分
■製作:永島一朗/監督:瑞穂春海/脚本:井上薫、新井一/美術:小島基司/音楽:松井八郎 ■出演:フランキー堺、香川京子、十朱久雄、河内桃子

求職中の青年に舞込んだ3つの仕事。新薬の実験材料に外交員に夜警にと、朝昼晩を三人前の大活躍、のはずが。春海和尚とも岡崎は軽喜劇3本で組んでいる。

4.17[日]― 4.23[土]

六條ゆきやま紬

「雪の質感がね、この物語の宿命を象徴するんだ」

1965年(S40)/東京映画/白黒/106分
■製作:佐藤一郎、椎野英之/監督・脚本:松山善三/美術:小島基司/音楽:佐藤勝 ■出演:高峰秀子、小林桂樹、毛利菊枝、フランキー堺、神山繁

「波影」とともに本作で白黒撮影の到達点に立つ。「浮雲」「乱れる」など高峰の美貌本意の画調に対抗し、芸者あがりの女の葛藤を白と黒のコントラストの世界に描き出した。

4.20[水]― 4.26[火]

華麗なる一族

「ロケセットの重要性。銀行がまず協力しなくて大変だった」

1974年(S49)/芸苑社/カラー/211分
■監督:山本薩夫/脚本:山田信夫/美術:横尾嘉良、大村武/音楽:佐藤勝/照明:下村一夫 ■出演:佐分利信、仲代達矢、京マチ子、田宮二郎、二谷英明、西村晃

大銀行の合併劇の裏で繰り広げられる財閥一族の大河ドラマ。日本経済の暗部にメスを入れた山崎豊子の原作を社会派エンターテインメントに仕上げた。色褪せない傑作。

4.24[日]― 4.30[土]

夜霧の決闘

「昨日観た外国映画を、すぐ現場に取り入れるのが井上演出」

1959年(S34)/宝塚映画/カラー/107分
■製作:杉原貞雄/監督・脚本:井上梅次/脚本:松浦健郎/美術:北辰雄/音楽:大森盛太郎 ■出演:鶴田浩二、神戸一郎、三橋達也、淡路恵子、雪村いづみ

アクション物で鳴らした井上梅次とのコンビ第1作目。麻薬取り引きで記憶を無くしたギャングが裏切り者と対決する。悪党どもに丹波哲郎、高松英郎、森雅之と豪華顔ぶれ。

4.24[日]― 4.30[土]

グラマ島の誘惑

「島ごとペンキで染めたわけ。三十年後に行ったらまだ残ってた」

1959年(S34)/東京映画/カラー/105分
■製作:滝村和男、佐藤一郎/監督・脚本:川島雄三/原作:飯沢匡/美術:小島基司 ■出演:森繁久弥、フランキー堺、三橋達也、桂小金治、浪花千栄子、轟夕起子

上層部が顔をしかめるほど川島、岡崎のコンビは毎回奇抜なアイデアを実践。南の島に漂着した軍人貴族と原住民のドタバタ喜劇でこの感覚は当時大不評だった。

4.27[水]― 4.30[土]

恍惚の人

「キャメラも演技であることを再認識した」

1973年(S48)/芸苑社/白黒/102分
■監督:豊田四郎/脚本:松山善三/原作:有吉佐和子/美術:小島基司/音楽:佐藤勝 ■出演:森繁久弥、高峰秀子、田村高廣、乙羽信子、篠ヒロコ

豊田とのコンビは12本。痴呆老人の心象風景を活かした内容に迫るためシネスコ全盛期にあえて白黒スタンダードを選んだ。自薦ベストの1本。