2023年9月17日(日)〜10月14日(土)ラピュタ阿佐ケ谷
●作品解説 1 / 2 ●上映スケジュール ●料金・インフォメーション
1961年、大工の倅が東映に入った。
「何や、高卒、俺ひとりやないか。周りはみんな六大学卒のエリートや!」
男の名前は関本郁夫。エリートのひとりが親切心からこういう。
「高卒では絶対監督になれない。早めに転職考えた方がいいぞ」
関本は「そうですか」と頷きつつ、心の中でその先輩をボコボコにした。
まもなくエリート助監督らは関本に、会社と敵対する組合役員を言葉巧みに押しつけた。
関本は過労で倒れながらこう叫ぶ。
「俺は絶対、糞エリートなんかに負けへん!」
そんな関本郁夫が監督になれたのは、
脳溢血のためにキャメラマン生命を絶たれた鈴木重平、
癌のため早世した美術監督森田和雄、そして
「お互い雑草の中から這い上がった者同士、よろしゅう頼んまっせ!」と関本を鼓舞した川谷拓三らのおかげだった。
関本は彼らが流した汗と涙を『映画監督放浪記』に書きのこした。
本の中で関本は言う。映画は学歴がない者とスケバン女優が見た夢や。
「関本郁夫 映画人生タイマン勝負!」で上映される十六本の映画やテレビは、関本率いる名もない映画人たちの夢の塊だ。
協力:東映株式会社、東映ビデオ株式会社、日活株式会社、松竹株式会社
トークイベント
●9月17日(日)16:40『好色元禄㊙物語』上映後
ゲスト:橘麻紀さん、関本郁夫監督
聞き手:杉山蔵人さん
●9月18日(月・祝)19:00『女番長 玉突き遊び』上映後
ゲスト:成瀬正孝さん、関本郁夫監督
聞き手:杉山蔵人さん
●9月23日(土)19:00『女番長 タイマン勝負』上映後
ゲスト:加藤雅也さん、関本郁夫監督
聞き手:谷岡雅樹さん(映画評論家)
●9月29日(金)16:10『極道の妻たち 死んで貰います』上映後
ゲスト:東ちづるさん、関本郁夫監督
聞き手:伊藤彰彦さん(映画史家)
●9月30日(土)16:10『極道の妻たち 死んで貰います』上映前
ゲスト:斉藤慶子さん、関本郁夫監督
聞き手:伊藤彰彦さん
●10月8日(日)19:50『天使の欲望』上映前
ゲスト:三崎奈美さん、関本郁夫監督
聞き手:杉山蔵人さん
※料金:1,600円均一
※招待券はご利用いただけません。
書籍案内
映画監督放浪記
関本郁夫/著
伊藤彰彦、塚田泉/編
小学館スクウェア 定価4,950円(税込)
「東大卒しか監督になれない」といわれた東映で、「高卒」「大工の倅」とそしられながら、関本郁夫は監督になる。そして、映画とテレビの現場を必死に渡り歩き、スケバン映画、テレビドラマ『金田一耕助の傑作推理』や山村美紗シリーズ、映画『極道の妻たち』を撮りまくる。1970〜2010年代、関本が職人監督として、東映、日活、角川、テレビ業界でいかに生き延びたかーこれは誰も書かなかった日本映画とテレビドラマの汗と涙がにじむドキュメントだ。