東映ニューポルノ、それは70年代の東映でひっそりと量産された成人映画群。企業内で作るギリギリの低予算から500万ポルノとも呼ばれ、1時間に満たない50分前後の上映時間が特色です。1973年、『仁義なき戦い』の大ヒット&ロングランにより生じた下番線での作品不足を補うため、従来の東映ポルノや外注ポルノに続く新路線としてスタート。実録犯罪モノからコメディ、サスペンス、メロドラマとめくるめく下世話エロスに若きスタッフ・キャストが集結、「捨て番組」として地方でのみ公開され映画史どころか各種リストに記録すら残っていない(結果的に抹殺された)作品をふくめ、その数20本あまり。

近年、名画座での単独復活や映画雑誌による調査追跡を経て、史上初の特集上映がついに実現……「ピンク映画より日の当たらない」と評された幻のジャンルがよみがえる!斜陽の撮影所が生み出したカルトの極北、東映ニューポルノのDeepな世界へようこそ。

Text by 高鳥都

  • ※当初上映を予定しておりました『史上最大のヒモ 濡れた砂丘』(1974年/監督:依田智臣/脚本:深尾道典/出演:川谷拓三)は諸般の事情により上映不可となりました。
    お客樣方にはご迷惑をおかけいたしますが何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
  • ※『処女の刺青』『毒婦お伝と首斬り浅』は厳密には東映ニューポルノではありませんが、東映京都の中篇作品としてラインナップに加えております。

【トークイベント】

  • ●7月6日(土)※終了しました
    21:00『処女かまきり』上映後
    ゲスト:柳下毅一郎さん(映画評論家)、モルモット吉田さん(映画評論家)、高鳥都さん(ライター)
  • ●7月14日(日)※終了しました
    21:00『処女かまきり』上映後
    ゲスト:桜マミさん
    聞き手:高鳥都さん
  • ●7月27日(土)※終了しました
    21:00『人妻セックス地獄』上映後
    ゲスト:掛札昌裕さん
    聞き手:真魚八重子さん(映画評論家)
  • ●8月3日(土)※終了しました
    21:00『女高生飼育』上映後
    ゲスト:関本郁夫さん
    聞き手:鈴木義昭さん(ルポライター)
  • ●8月10日(土)※終了しました
    21:00『女高生飼育』上映後
    ゲスト:藤木TDCさん(フリーライター)、田野辺尚人さん(「別冊映画秘宝」編集長)、高鳥都さん
  • ●8月17日(土)※終了しました
    21:00『玉割り人ゆき』上映後
    ゲスト:春日太一さん(映画史・時代劇研究家)、高鳥都さん
  • ●8月31日(土)※終了しました
    21:00『処女の刺青』上映後
    ゲスト:荒井美三雄監督、鈴木義昭さん
    聞き手:高鳥都さん
  • ●9月7日(土)
    21:00『毒婦お伝と首斬り浅』上映後
    ゲスト:西田良さん
    聞き手:高鳥都さん
  • ※他、ゲスト調整中。決まり次第、当館HPにてお知らせいたします。

【お知らせ】

ジュンク堂書店 吉祥寺店にて 「東映ニューポルノのDeepな世界公開記念 三角マーク△ブックフェア」開催中!
http://www.junkudo.co.jp/mj/store/event_detail.php?fair_id=2034

『処女かまきり』写真

©東映

7月6日(土)〜19日(金)

処女かまきりニュープリント

1973年(S48)/東映京都/カラー/50分

■監督:依田智臣/脚本:堀野蔵二/撮影:木村誠司/美術:寺島孝男/音楽:荒木一郎
■出演:葵三津子、桜マミ、女屋実和子、田中小実昌、田中淳一、名和宏、川谷拓三、多賀勝、林真一郎

おんなってトクね、からだ一つで世の中楽しく過ごせるワ!セックス大好きな妹を利用してゼニを稼ぐバージンの姉、その恋のゆくえは…。葵三津子&桜マミの艶笑喜劇に、依田智臣のアナーキーな演出が炸裂するデビュー作。直木賞作家・田中小実昌演じるエロ坊主にもご注目。

『人妻セックス地獄』写真

©東映

7月20日(土)〜8月2日(金)

人妻セックス地獄ニュープリント

1974年(S49)/東映京都/カラー/52分

■監督:本田達男/脚本:一色爆/撮影:国定玖仁男/美術:竹川輝夫/音楽:平岩太郎
■出演:女屋実和子、江角英明、織部ゆう子、葵三津子、川谷拓三、奈辺悟、大木晤郎

石井輝男とのコンビで知られる掛札昌裕が一色爆というペンネームで脚本を担当した異常性愛サスペンス劇場。白昼のガレージで襲われた奥様は、あっという間に人生を転げ落ち、そして復讐の鬼に。東映ニューフェイス出身・女屋実和子のクールな眼差しがカッコいい!

『女高生飼育』写真

©東映

8月3日(土)〜16日(金)

女高生飼育ニュープリント

1975年(S50)/東映京都/カラー/53分

■監督:本田達男/脚本:関本郁夫/撮影:国定玖仁男/美術:山下謙爾/音楽:松田晃
■出演:朝倉葉子、江角英明、京町一代、宮城幸生、星野美恵子、富永佳代子、波多野博

4本のポルノに出演し引退した朝倉葉子が同姓同名の17歳という役柄。なぜ少女は逃げなかったのか……実話をもとに撮影所の技術を駆使した奇妙な密室劇はやがて飛躍しジャンルの壁を突き破る。配置転換によりプロデューサーとなった本田達男、最後の監督作品。

『玉割り人ゆき』写真

©東映

8月17日(土)〜23日(金)

玉割り人ゆき

1975年(S50)/東映京都/カラー/64分

■監督:牧口雄二/原作:三木孝祐、松森正/脚本:田中陽造/撮影:塩見作治/音楽:渡辺岳夫
■出演:潤ますみ、森崎由紀、大下哲矢、奈辺悟、川谷拓三、北村英三、八木孝子、白川みどり

東映カルトプリンス・牧口雄二の叙情と煽情あふれる第1回監督作品。京都島原の遊廓で女たちに性技を仕込む仕事師が一人のアナキストと出会い、捨てたはずの「おんな」が揺れ動く…。劇画原作の情念哀話に拓ボンが乗り込み、ねっとりしたオッチャンたちのテクがうなる!

『玉割り人ゆき 西の廓夕月楼』写真

©東映

8月24日(土)〜30日(金)

玉割り人ゆき 西の廓夕月楼

1976年(S51)/東映京都/カラー/64分

■監督:牧口雄二/原作:三木孝祐、松森正/脚本:田中陽造/撮影:塩見作治/音楽:渡辺岳夫
■出演:潤ますみ、坂口徹、中島葵、森崎由紀、長島隆一、成瀬正、水城マコ、泉ユリ

古都金沢を舞台にしたシリーズ第2弾。玉割り人の潤ますみに中島葵という恋のライバル登場、パワフルな女ストーカーに責め絵師・伊藤晴雨(長島隆一)が合流して、さぁ大変。情痴のもつれた糸が悲劇をたぐり寄せる。玉とは女の恥部、玉子を使った性技特訓も見どころ。

『処女の刺青』写真

©東映

8月31日(土)〜9月6日(金)

処女の刺青

1976年(S51)/東映京都/カラー/67分

■監督:荒井美三雄/撮影:片山種美、水巻祐介/照明:海地栄/音楽:津島利章
■インタビュアー:花柳幻舟

花柳幻舟がゆく、ニッポン全国イレズミの旅。アウトサイダーな人々をたっぷり拝める東映セックスドキュメントの終着駅。やわ肌に刻み込まれる針の音が全編を貫き、舞い踊る幻舟レポートの果て、取材班が見たものとは!?石井輝男の愛弟子・荒井美三雄による異色作。

『毒婦お伝と首斬り浅』写真

©東映

9月7日(土)〜13日(金)

毒婦お伝と首斬り浅

1977年(S52)/東映京都/カラー/62分

■監督:牧口雄二/脚本:大津一郎/撮影:勝木勝夫/美術:山下謙爾/音楽:渡辺岳夫
■出演:東てる美、伊吹吾郎、槇健多郎、広瀬義宣、橘由紀、汐路章、志賀勝、内村レナ、西田良

まさに土壇場、雪が舞う斬首シーンの凄絶な映像美までノンストップ、62分を盗んだ馬車で駆け抜ける!文明開化から取り残された男女4人のボニー&クライドな青春犯罪ムービー。毒婦と呼ばれた高橋お伝(東てる美)、田舎娘から鉄火な姐さんへの変貌を見逃すな!

■料金

一般/1,200円 シニア・学生/1,000円 会員/800円 水曜日サービスデー/1,000円均一

■インフォメーション

  • 午前10時15分より当日全回分の整理番号付き入場券を発売いたします。定員48名になり次第、締め切らせていただきます。
  • 上映開始後10分を過ぎてのご入場はお断りさせていただきます。
  • 作品により画像、音声が必ずしも良好でない場合がございます。あらかじめご了承下さい。