徳川夢声はサイレント時代には活動弁士として一世を風靡し、トーキーの時代になると、漫談家、俳優として活躍、古川ロッパらと「笑の王国」の結成にも参加し、舞台、映画にも数多く出演しました。ラジオ、テレビの草創期には、その独特の<間>を生かした天才的な<語り>で大衆を魅了。文筆でも稀代のユーモリストとして知られ、『夢声戦争日記』をはじめ数多くの名著があります。
映画俳優としては、盟友森岩雄の勧めで、創設期のPCLから初期の東宝映画に数多く出演し、その滋味あふれる演技は今なお独特の魅力をはなっています。近年、傑作メモワール『くらがり二十年』『あかるみ十五年』が復刻され、再評価が高まっている、昭和を代表する元祖マルチ・タレント徳川夢声の世界を特集します。
協力:東宝株式会社、角川映画株式会社、国際放映株式会社、松竹株式会社、日活株式会社、株式会社日本ドキュメント・フィルム、東京国立近代美術館フィルムセンター
写真:『吾輩ハ猫デアル』(c)東宝