「ピンクの巨匠」「活動屋」──渡辺護は古き良き時代の映画人というイメージで語られることが多かった。

けれども、私たちは本当の彼をまだよく知らない。たとえば、ピンク映画のことを一度カッコに入れて見てみるとどうなるか。

渡辺は1931年生まれ。ゴダールやトリュフォーたちヌーヴェルヴァーグと同世代なのだ。それに、デビュー作『あばずれ』を『少女縄化粧』、『変態SEX 私とろける』と二度リメイクしていることが分かったのもつい最近だし、三本をまとめて見ることができるのは今回の特集が初めてなのだ。渡辺護自伝的ドキュメンタリーの中で彼はサービス精神たっぷりに喋りまくるが、饒舌の中に時折、幸せなときは過ぎ去った……という悲哀がのぞく。この悲哀と監督作にはどのような関係があるのか。

渡辺護はこれから発見される監督、未知の可能性を持った監督である。(text by 井川耕一郎)

渡辺護(わたなべまもる)。1931年東京生まれ。

早大文学部入学後、八田元夫演出研究所に入る。
その後、TVドラマの俳優、脚本家、助監督などの経験を経て、1965年、『あばずれ』で監督デビュー。
ピンク映画界で活躍。東てる美、美保純、可愛かずみのデビュー作を撮り、世に送り出した。
現在、確認できる監督作は210本だが、それ以上撮ったと言われている。
2013年、新作準備中にがんに倒れ、亡くなる。

【上映スケジュール 連日21:00〜】

7月23日(土)〜25日(月)
あばずれ(60分)
7月26日(火)〜8月1日(月)
紅壺(78分)
併映:渡辺護が語る自作解説 新人女優を撮る(30分)
8月2日(火)〜8日(月)
女子大生の抵抗(70分)
併映:渡辺護が語るピンク映画史(補足)すべて消えゆく ピンク映画1964-1968(30分)
8月9日(火)〜15日(月)
渡辺護自伝的ドキュメンタリー
第一部「糸の切れた凧 渡辺護が語る渡辺護」前篇
(60分)
8月16日(火)〜22日(月)
渡辺護自伝的ドキュメンタリー
第一部「糸の切れた凧 渡辺護が語る渡辺護」後篇
(62分)
8月23日(火)〜25日(木)
おんな地獄唄 尺八弁天(76分)
併映:渡辺護が語る自作解説 弁天の加代を撮る(30分)
8月26日(金)〜9月1日(木)
㊙湯の街 夜のひとで(73分)
併映:渡辺護が語る自作解説 エロ事師を撮る(30分)
9月2日(金)〜4日(日)
日本セックス縦断 東日本篇(68分)
併映:渡辺護が語る自作解説 事件ものを撮る(30分)
9月5日(月)〜11日(日)
渡辺護自伝的ドキュメンタリー
第二部「つわものどもが遊びのあと 渡辺護が語るピンク映画史」前篇
(65分)
9月13日(火)〜19日(月)
渡辺護自伝的ドキュメンタリー
第二部「つわものどもが遊びのあと 渡辺護が語るピンク映画史」後篇
(73分)
9月20日(火)〜26日(月)
谷ナオミ 縛る!(60分)
併映:渡辺護が語る自作解説 緊縛ものを撮る(一)(35分)
9月27日(火)〜29日(木)
少女縄化粧(62分)
併映:渡辺護が語る自作解説 緊縛ものを撮る(二)(30分)
9月30日(金)〜10月6日(木)
婦女暴行事件 不起訴(61分)
併映:非行女子学生 濡れはじめ(8mm短縮版)(10分)
10月7日(金)〜14日(金)
変態SEX 私とろける(66分)
10月15日(土)〜21日(金)
産婦人科 人妻異常体験(61分)
10月22日(土)〜28日(金)
片目だけの恋(88分)
10月29日(土)〜11月4日(金)
喪服の未亡人 ほしいの…(61分)
併映:花の女王蜂性競乱(8mm短縮版)(10分)
11月5日(土)〜11日(金)
色道四十八手 たからぶね(71分)
11月12日(土)〜14日(月)
紅蓮華(119分)