成瀬巳喜男 その、まなざし 2/29-4/24


スケジュール
作品解説2
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ラピュタ阿佐ヶ谷




作品解説1

乙女ごころ三人姉妹夜の流れ妻として女として芝居道晩菊浮雲歌行燈山の音
乙女ごころ三人姉妹
(c) 東宝
2.29[日]ー3.2[火]
乙女ごころ三人姉妹
1935年/P.C.L./白黒/75分
■脚本:成瀬巳喜男/原作:川端康成/撮影:鈴木博美術:久保一雄/音楽:紙恭輔 ■出演:細川ちか子、堤真佐子、梅園龍子、林千歳、松本千里、三条正子、松本万里代、大川平八郎
音響効果に苦心の跡がみられる トーキー第一作
歓楽の街、浅草六区の盛り場で、夜ごとネオンの軒をつたう門付け女たちの悲哀を描く、川端康成『浅草の姉妹』の映画化。成瀬初のトーキー作品であり、ナレーションの挿入をはじめ、トーキーならではの巧みな音響効果が用いられている。

夜の流れ
(c) 東宝
2.29[日]ー3.6[土]
夜の流れ ※川島雄三と共同監督作品
1960年/東宝/カラー/111分
■製作:藤本真澄、成瀬巳喜男/脚本:井手俊郎、松山善三/撮影:安本淳、飯村正/美術:松山崇、北辰雄/音楽:齋藤一郎 ■出演:司葉子、山田五十鈴、宝田明、三橋達也、白川由美、水谷良重
正統派成瀬&異才川島雄三のかつてない共同監督
花柳界に生きる雇われおかみと、その娘との確執を描く。古い世代の人物が登場する場面を成瀬、若い世代を川島雄三が担当する共同監督作品。それぞれの対比が興味深く、ここは成瀬、これは川島という謎解きめいた楽しさもある。

妻として女として
(c) 東宝
2.29[日]ー3.6[土]
妻として女として
1961年/東宝/カラー/107分
■製作:藤本真澄、菅英久脚本:井手俊郎、松山善三撮影:安本淳/美術:中古智/音楽:斎藤一郎 ■出演:高峰秀子、淡島千景、森雅之、星由里子、仲代達矢、水野久美
三者が対面するクライマックスは圧巻
大学教授の愛人として長い間つくしてきた女と、愛人と夫の間に出来た子を育ててきた妻との対立を描く。高峰・淡島の火花散る演技はすさまじく、どっちつかずの男を演じる森雅之の圧倒的な存在感も強く印象を残す。

芝居道
(c) 東宝
3.3[水]ー9[火]
芝居道
1944年/東宝/白黒/83分
■製作:清川峰輔/脚本:八住利雄/原作:長谷川幸延/撮影:小倉金弥/美術:中古智/音楽:清瀬保二 ■出演:古川緑波、長谷川一夫、山田五十鈴、進藤英太郎、阪東橘之助
国家総動員体制という時局の中で撮られた芸道もの
大阪で役者をしている新蔵は、連日の大入りに慢心して東京に出ていくが自分の未熟さに気づき芸道に精進、一人前になってふたたび大阪へもどる。物語は非常にオーソドックスだが、単なる娯楽映画に終わらない秀作。

晩菊
(c) 東宝
3.3[水]ー9[火]
晩菊
1954年/東宝/白黒/102分
■製作:藤本真澄/脚本:田中澄江、井手俊郎/原作:林芙美子/撮影:玉井正夫/美術:中古智/音楽:斎藤一郎 ■出演:杉村春子、沢村貞子、細川ちか子、望月優子上原謙、小泉博
成瀬特有の詠嘆的味わいをみせてくれる
昔は芸者として働き今は金貸しをしている中年女に、かつての同僚たちが絡み、それぞれのエピソードがユーモアとともにほのかな哀愁を漂わせて描かれる。 四人の中年女にいずれ劣らぬ芸達者を揃えたことが、作品に深味を加えている。

浮雲
(c) 東宝
3.7[日]ー13[土]
浮雲
1955年/東宝/白黒/124分
■製作:藤本真澄/脚本:水木洋子/原作:林芙美子/撮影:玉井正夫/美術:中古智/音楽:斎藤一郎 ■出演:高峰秀子、森雅之中北千枝子、岡田茉莉子山形勲、加東大介
小津安二郎いわく“俺にはできないシャシン”
成瀬の代表作であり、映画史に燦然と輝く名作中の名作。地の果てまでも男を追うヒロインを演じた高峰秀子、男の愚かさを好演した森雅之。ふたりの緊張感みなぎる絡み合いをとらえて、その演出スタイルはひとつの頂点に達したといえる。

歌行燈
(c) 東宝
3.7[日]ー13[土]
歌行燈
1943年/東宝映画/白黒/93分
■製作:伊藤基彦/脚本:久保田万太郎/原作:泉鏡花/撮影:中井朝一/美術:平川透徹/音楽:深井史郎 ■出演:花柳章太郎、柳永二郎、大矢市次郎、伊志井寛、山田五十鈴
芸が人を殺し、芸が人を助ける 戦時下ながら異色の非時局的大作
泉鏡花の同名小説を映画化。出演者に新派劇の名優たちを得て、芸の道に生きる男の波乱の生涯を描く。早朝の林の中、花柳章太郎の教えを受けて山田五十鈴が“松風”を舞う場面は見事のひと言である。

山の音
(c) 東宝
3.10[水]ー16[火]
山の音
1954年/東宝/白黒/95分
■製作:藤本真澄/脚本:水木洋子/原作:川端康成/撮影:玉井正夫/美術:中古智/音楽:斎藤一郎 ■出演:原節子、上原謙山村聰、長岡輝子、杉葉子、丹阿弥谷津子
嫁と舅のほのかな想い…。川端文学の映画化としても一級品
中流家庭を舞台に、老境に入った男が、若く美しい息子の嫁に抱く複雑な感情を綴る。川端康成が戦後最初に発表した同名小説の映画化。俳優たちも持ち味を生かした素晴らしい演技で、とりわけ原節子の匂いたつような美しさは忘れ難い。