成瀬巳喜男 その、まなざし 2/29-4/24


スケジュール
作品解説1
作品解説2
作品解説3

ラピュタ阿佐ヶ谷




作品解説4

舞姫あらくれ乱れる旅役者放浪記秀子の車掌さん杏っ子
4.7[水]ー13[火]
舞姫
1951年/東宝/白黒/85分/16mm
■製作:児井英生/脚本:新藤兼人/原作:川端康成/撮影:中井朝一/美術:中古智/音楽:斎藤一郎 ■出演:山村聰、高峰三枝子、片山明彦、岡田茉莉子二本柳寛
香気豊かに綴る冷ややかな家庭劇
川端康成の同名小説を映画化。考古学者の夫とバレエ教室を営む妻には、長年に渡ってできた深い溝と負い目があり、別れ話にまで発展してしまう。崩壊しかけた家族の中で、娘・品子を演じるのは大スター岡田時彦の娘・岡田茉莉子である。

あらくれ
(c) 東宝
4.11[日]ー17[土]
あらくれ
1957年/東宝/白黒/121分
■製作:田中友幸/脚本:水木洋子/原作:徳田秋聲/撮影:玉井正夫/美術:河東安英/音楽:斎藤一郎 ■出演:高峰秀子、上原謙森雅之、加東大介、仲代達矢、東野英治郎
成瀬作品における最もエネルギッシュなヒロイン
元来気性が激しく、そのくせ情にほだされやすい主人公・お島が出逢う男達との関係を描く。荒々しく感情をむき出しにするヒロインを成瀬作品には多数出演している高峰秀子が演じ、他作品でのきめ細やかな名演とは違った味わいを残す。

乱れる
(c) 東宝
4.11[日]ー17[土]
乱れる
1964年/東宝/白黒/98分
■製作:藤本真澄、成瀬巳喜男/脚本:松山善三/撮影:安本淳/美術:中古智音楽:斎藤一郎 ■出演:高峰秀子、加山雄三、草笛光子、白川由美、三益愛子、浜美枝、藤木悠中北千枝子
微妙に揺れうごく女ごころを凝視
酒屋を亡き夫の姑ときりもりする女が義弟に恋慕され、世間体と女としての心情に挟まれ葛藤する心理劇。珍しくシリアスものに出演した加山雄三が繊細に義弟を演じた。始終、緊張感を感じさせる心理描写は成瀬の真骨頂。

旅役者
(c) 東宝
4.14[水]ー20[火]
旅役者
1940年/東宝映画/白黒/71分
■製作:氷室徹平/脚本:成瀬巳喜男/撮影:木塚誠一/美術:安倍輝明/音楽:早坂文雄 ■出演:藤原鶏太、柳谷寛高勢実乗、清川荘司、御橘公、深見泰三、中村是好、山根寿子
笑いの中にも哀愁を 宇井無愁のユーモア小説を成瀬が脚色
病気や厳しい検閲のために、前作品から一年のブランクを経て作りあげた作品。信州の田舎町にやって来た馬の役を演じる俵六と仙平。しかし、興行師と顔役とのいざこざに巻き込まれ、大事な馬の頭を壊される。終いには役を追われ・・・。

妻
(c) 東宝
4.14[水]ー20[火]

1953年/東宝/白黒/96分
■製作:藤本真澄/脚本:井手俊郎/原作:林芙美子/撮影:玉井正夫/美術:中古智/音楽:斎藤一郎 ■出演:上原謙、高峰三枝子、丹阿弥谷津子、高杉早苗、中北千枝子
「めし」「夫婦」に続く〈夫婦もの三部作〉
修復のきかない夫婦の仲を客観的にみつめた異例作。高峰三枝子はこれまでの華麗な令嬢役から一転、惰性な性格の妻を熱演。また上原謙は夫婦もの三部作を通して、優柔不断な夫を演じているのがおもしろい。

放浪記
(c) 東宝
4.18[日]ー24[土]
放浪記
1962年/宝塚映画/白黒/124分
■製作:藤本真澄、成瀬巳喜男、寺本忠弘/脚本:井手俊郎、田中澄江/撮影:安本淳/美術:中古智/音楽:古関裕而 ■出演:高峰秀子、田中絹代、宝田明、加東大介、小林桂樹、草笛光子
林芙美子の自伝的小説を映画化 「あらくれ」に次ぐ女の一代記もの
自由奔放な女性を題材とする作品としては「あらくれ」に次ぐ作品。ふみ子を演じた高峰秀子は、原作者の特徴をみごとに表現し、苦難にさいなまれつつも小説を書き続ける芯の強い女性を好演。菊田一夫版舞台脚本を映画化のために脚色した。

秀子の車掌さん
(c) 東宝
4.18[日]ー24[土]
秀子の車掌さん
1941年/南旺映画/白黒/54分
■製作:藤本真澄/原作:井伏鱒二/脚本:成瀬巳喜男/撮影:東健/美術:小池一美/音楽:飯田信夫 ■出演:高峰秀子、藤原鶏太、夏川大二郎、清川玉枝勝見庸太郎
多くの名作をうみだしていく 成瀬・高峰初コンビ作
当時絶大な人気だった“デコちゃん”こと、高峰秀子が扮する若い車掌と運転手が、傾きかけた田舎のバス会社を立て直そうとする奮戦記。井伏鱒二の『おこまさん』を映画化したもので、登場人物が原作に近いかたちで描かれる。

杏っ子
(c) 東宝
4.21[水]ー24[土]
杏っ子
1958年/東宝/白黒/109分
■製作:田中友幸/脚本:田中澄江、成瀬巳喜男/原作:室生犀星/撮影:玉井正夫/美術:中古智/音楽:斎藤一郎 ■出演:山村聰、夏川静江香川京子、太刀川洋一、木村功、中北千枝子
才能はないが芸術に執着するダメ亭主をめぐる悲劇
著名な作家を父に持つ娘と文学青年が結婚したことによりおこる悲劇。自分の文才に固執する夫は、舅に対し劣等感を抱き、いつしか生活まで荒れはてる。方向性をみうしない、しかし何かを求め続ける夫婦の陰惨さを成瀬は淡々と描く。