瀬川昌治の乾杯ごきげん映画術

10月18日(水) 〜24日(火)

図々しい奴

1964年(S39)/東映東京/カラー/94分

■脚本:下飯坂菊馬/原作:柴田錬三郎/撮影:二口善乃/美術:北川弘/音楽:松井八郎 ■出演:谷啓、佐久間良子、杉浦直樹、西村晃、上田吉二郎、浪花千栄子、長門裕之

柴田錬三郎のベストセラーが原作。身寄りのない快童・戸田切人が若様と奇妙な友情で結ばれ、持ち前の図々しさで昭和の混乱期を生き抜いていくという立志伝風のコメディ。映画初主演・谷啓の持味である「庶民の持つ雑草のようなバイタリティ」が全開の一篇。

『図々しい奴』写真

(c)東映

10月18日(水) 〜24日(火)

続・図々しい奴

1964年(S39)/東映東京/カラー/97分

■脚本:下飯坂菊馬/原作:柴田錬三郎/撮影:山沢義一/美術:中村修一郎/音楽:松井八郎 ■出演:谷啓、佐久間良子、杉浦直樹、長門裕之、浪花千栄子、中原早苗

破天荒な主人公・切人は図々しさを大いに発揮して要領よく軍隊生活を送り、終戦後も金儲けに、恋に、八面六臂の大活躍。いよいよ念願の城づくりという時、憧れの女性がこの世を去って、後半はやや悲劇的なトーンも。柴田錬三郎と水上勉が新兵役で特別出演。

『続・図々しい奴』写真

(c)東映

10月22日(日) 〜28日(土)

喜劇 急行列車

1967年(S42)/東映東京/カラー/90分

■脚本:舟橋和郎/撮影:飯村雅彦/美術:北川弘/音楽:木下忠司 ■出演:渥美清、佐久間良子、西村晃、小沢昭一、江原真二郎、三遊亭歌奴

寝台特急を舞台に専務車掌の活躍を描く“列車シリーズ”の第一作。ハネムーンのカップル、下着や宝石を盗む泥棒夫婦、心臓病を患う鉄道マニアの少年、産気づく妊婦など、様々な人間模様を活写したグランドホテル形式のドラマとしても秀逸な一篇。

『喜劇 急行列車』写真

(c)東映

10月22日(日) 〜28日(土)

快感旅行

1972年(S47)/松竹/カラー/90分

■脚本:下飯坂菊馬、瀬川昌治/撮影:丸山恵司/美術:熊谷正雄/音楽:大森盛太郎 ■出演:フランキー堺、倍賞美津子、森田健作、光本幸子、藤巻潤、ミヤコ蝶々、ケーシー高峰、伴淳三郎

フランキー堺主演“旅行シリーズ”最終作。俳句マニアの専務車掌・大作は、老舗旅館の女将から婿養子にと誘われて…。美しい金沢の景観をバックに繰り広げられる恋愛騒動。大作を奪還すべく乱入してくる食堂車ウェイトレス・倍賞美津子と父親・伴淳の怪演もみもの。

10月25日(水) 〜31日(火)

山麓

1962年(S37)/東映東京/カラー/105分 ※16mm

■脚本:松山善三/原作:丹羽文雄/撮影:飯村雅彦/美術:森幹男/音楽:斎藤一郎 ■出演:三田佳子、山田五十鈴、淡島千景、扇千景、岩崎加根子、笠智衆、千葉真一、木村功、沢村貞子

資産家との見合いで揺れ動く末娘・三田佳子を中心に、金の亡者のような母親と四姉妹の葛藤を描く。『しとやかな獣』のメロドラマ版ともいうべき辛辣な家庭劇で、成瀬、小津作品並みの豪華キャストをさばく、新人とは思えない瀬川監督の水際立った演出はみごとだ。

『山麓』写真

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10月25日(水) 〜31日(火)

ザ・ドリフターズの カモだ!! 御用だ!!

1975年(S50)/松竹、渡辺プロ/カラー/91分

■脚本:加瀬高之、下飯坂菊馬、瀬川昌治/撮影:丸山恵司/美術:梅田千代夫/音楽:青山八郎 ■出演:ザ・ドリフターズ、倍賞美津子、悠木千帆、園佳也子、犬塚弘、ビーバー、キャンディーズ

渡辺祐介監督からバトンタッチしてつくられた“全員集合シリーズ”十五作目。いかりや長介扮する万年平刑事が五億円宝石強奪事件を捜査するなか、チンピラヤクザ・加藤茶が浮上、やがて騒乱状態に陥っていく。スラップスティックなギャグが随所に。

10月29日(日) 〜11月4日(土)

喜劇 男の泣きどころ

1973年(S48)/松竹/カラー/93分

■脚本:田坂啓、瀬川昌治/撮影:川又昂/美術:佐藤公信/音楽:青山八郎 ■出演:フランキー堺、太地喜和子、藤岡琢也、春川ますみ、笠智衆、石橋蓮司

生真面目なポルノ取締官が捜査に深入りして不能になるも、ストリッパー“ベベ・モンロー”の尽力で男を回復、組織も摘発する。瀬川監督のお気に入り、ストリップの世界を初めてテーマに据えた喜劇。以後、名コンビとなる太地喜和子のおおらかなエロスが堪能できる。