『愛欲の標的(ターゲット)』写真

(c)日活

4月8日(日) 〜 14日(土)

愛欲の標的(ターゲット)

1979年/にっかつ/カラー/70分

■脚本:桂千穂/原作:勝目梓/撮影:水野尾信正/音楽:本多信介
■出演:宮井えりな、水島美奈子、日野繭子、中丸信、長島隆一、河西健司

愛人と共謀し、心臓が悪い夫にショックを与えて死なせ、莫大な遺産を相続した女のもとに謎の脅迫電話がかかるーー。成就したかにみえた完全犯罪が果てなき欲望の連鎖で破綻していくエロティック・ミステリー。ヒロインが誘惑する青年の恋人に扮した日野繭子の自由奔放な存在感が魅力的だ。

4月11日(水) 〜 17日(火)

丑三つの村

1983年/松竹映像、富士映画/カラー/106分

■脚本:西岡琢也/原作:西村望/撮影:丸山恵司/音楽:笹路正徳
■出演:古尾谷雅人、池波志乃、原泉、五月みどり、田中美佐子

『八つ墓村』のヒントにもなった一九三八年の大量殺人事件「津山三十人殺し」を描いた衝撃作。肺結核を罹患し、次第に閉鎖的な村社会で蔑まれ、絶望のあまり大量殺戮に走ってしまった孤独な青年を古尾谷雅人が切ないまでにみごとに演じている。公開時は、過激な暴力描写ゆえに成人指定となった。

『発禁本「美人乱舞」より 責める!』写真

(c)日活

4月15日(日) 〜 21日(土)

ニュープリント

発禁本「美人乱舞」より 責める!

1977年/日活/カラー/83分

■製作:結城良熙/脚本:いどあきお/撮影:森勝/音楽:高田次郎
■出演:宮下順子、山谷初男、工藤麻屋、中島葵、南寿美子

実在した責め絵・写真・文学の大家、伊藤晴雨の縛りによる加虐、被虐の快楽追求の遍歴を緊迫した映像美で描いた力作。場末のカフェで知りあい、晴雨の虜になった赤い長襦袢の女タエ(宮下順子)が真っ白な雪原で樹木の枝に縄で吊るされているシーンなど審美的イメージの氾濫に圧倒される。

『人妻集団暴行致死事件』写真

(c)日活

4月15日(日) 〜 21日(土)

人妻集団暴行致死事件

1978年/日活/カラー/96分

■製作:三浦朗/脚本:佐治乾/原案:長部日出雄/撮影:森勝/美術:柳生一夫
■出演:室田日出男、黒沢のり子、酒井昭、深見博、古尾谷康雅、志方亜紀子

東京近郊の水辺が広がる閉鎖的な田園地帯。三人の青年に輪姦された人妻がショック死するという凄惨な悲劇の行方を詩的ドキュメンタリーのような眼差しでとらえた傑作。物言わぬ裸身の妻・黒沢のり子を湯船で浄め、慈しむように抱きしめる夫・室田日出男の寡黙な名演がすばらしい。

『(秘)色情めす市場』写真

(c)日活

4月18日(水) 〜 21日(土)

ニュープリント

(秘)色情めす市場

1974年/日活/パートカラー/83分

■製作:結城良熙/脚本:いどあきお/撮影:安藤庄平/美術:川崎軍二
■出演:芹明香、花柳幻舟、夢村四郎、宮下順子、萩原朔美、高橋明、絵沢萠子

大阪のドヤ街でしたたかに生きる娼婦トメを描き、後年の『仁義の墓場』『赤目四十八瀧心中未遂』にも影響を与えた傑作。芹明香はこの作品で七〇年代を象徴するイコンと化した。虚無的なまでに美しいモノクロ映像が鮮烈で、トメが精薄の弟と交わる場面では慈愛に満ちた母性が一気に噴出し、深い感銘を与える。

3月28日(水) 〜 31日(土)

【テレビ作品】
月曜ワイド劇場
白い悪魔が忍びよる

1984年5月28日 テレビ朝日系/カラー/113分 ※16mm

■脚本:播磨幸兒/原作:藤本義一/撮影:阪本善尚/音楽:佐藤允彦
■出演:山本陽子、西郷輝彦、加賀まりこ、佐藤慶、山村聰

裕福な家庭の主婦がふとしたきっかけで薬物中毒にされ、娼婦にまで身を堕とす恐怖譚。地獄の使いのような売人を佐藤慶が実に憎々しげに演じて秀逸だが、清純派のイメージが強い山本陽子が大胆な濡れ場を披露し、エロティックな魅力を発散している。特にクスリが切れた彼女が錯乱する場面はポランスキーの『反撥』を彷彿とさせる。

4月1日(日) 〜 3日(火)

【テレビ作品】
土曜ワイド劇場
横溝正史の鬼火 仮面の男と湖底の女

1983年3月26日 テレビ朝日系/カラー/100分 ※16mm

■脚本:中島丈博/原作:横溝正史/音楽:菅野光亮
■出演:宇津宮雅代、中山仁、高橋長英、伊丹十三、加藤治子

田舎の旧家に嫁いだ美しい義母の姦計によってお互いが憎みあうように生きてきた兄と弟。ともに画家になった彼らは東京で再会するが、酷薄な運命がふたりを再び狂わせ、破滅へと導いていく。宇津宮雅代が『めまい』のキム・ノヴァクを想起させる謎めいた<宿命の女>を演じ、とりわけラストの湖上の惨劇シーンは悪夢のように美しい。

4月11日(水) 〜 17日(火)

【テレビ作品】
木曜ゴールデンドラマ
愛の報い

1983年7月14日 日本テレビ系/カラー/96分 ※16mm

■脚本:猪又憲吾/撮影:森勝/美術:渡辺平八郎/音楽:岩間南平
■出演:桃井かおり、風間杜夫、蟹江敬三、名古屋章、宮下順子

かつて青春ドラマのスターで今や落ちぶれた男がファンの女と同棲、貢がせた挙句、借金を重ね、ソープで働かせる。やがて男にカムバックの機会が訪れ――。実在の愛人殺人事件をヒントにしたため放映時にセンセーショナルな話題を呼んだ問題作。桃井かおりが献身的な耐える女を切々と表現し、風間杜夫も屈折した役柄をリアルに演じている。

(text by 高崎俊夫)