『白蛇伝』写真

(c)東映

3月9日(日) 〜11日(火)

白蛇伝

1958年(S33)/カラー/78分

■演出・脚本:薮下泰司/台詞構成:矢代静一/原案:上原信/音楽:木下忠司、池田正義、鏑木創/構成美術:岡部一彦、橋本潔/原画:大工原章、森康二/動画:大塚康生、坂本雄作、喜多真佐武、中村和子、寺千賀雄、楠部大吉郎ほか
■声の出演:森繁久弥、宮城まり子

今から半世紀も前、「東洋のディズニー」を目指して設立された東映動画が、人材と設備をゼロから整えつつ、約2年の歳月をかけて完成させたカラー長編アニメ第1作。白蛇の精・白娘(パイニャン)が人間の青年・許仙(シュウセン)へ寄せる一途な純愛は、今見ても胸を打つ。森繁久彌と宮城まり子が、2人だけで全キャラを演じ分けている点にも注目だ。

『西遊記』写真

(c)東映

3月9日(日) 〜15日(土)

西遊記

1960年(S35)/カラー/88分

■演出:薮下泰司、手塚治虫、白川大作/動画監修:山本早苗/脚本:植草圭之助/構成:手塚治虫/音楽:服部良一/原画:森康二、熊川正雄、大塚康生、大工原章、古沢日出夫/動画:楠部大吉郎、奥山玲子、永沢詢、杉山卓ほか
■声の出演:小宮山清、新道乃里子、木下秀雄、篠田節夫

東映動画の長編第3作。おなじみの中国古典文学をベースにしつつ、手塚治虫が雑誌連載していた人気漫画「ぼくのそんごくう」を直接の原作としてアニメ化。手塚自身も構成や絵コンテのスタッフとして制作に参加。その甲斐もあり、アップテンポな場面展開と軽妙なギャグの見せ場が全編にあふれた、一級の娯楽作品となっている。

『わんわん忠臣蔵』写真

(c)東映

3月9日(日) 〜15日(土)

わんわん忠臣蔵

1963年(S38)/カラー/81分

■演出:白川大作/監修:山本早苗、薮下泰司/原案構成:手塚治虫/音楽:渡辺浦人/作画監督:大工原章/原画:楠部大吉郎、奥山玲子、喜多真佐武、勝井千賀雄、彦根範夫、小田部羊一、熊川正雄、森康二
■声の出演:堀絢子、木下秀雄、水木蘭子、佐藤英夫、西村晃

手塚治虫の原案、構成による犬版「忠臣蔵」の物語。主人公・ロックの名は大石内蔵助、仇敵・虎のキラーは吉良上野介にちなんでいる。マーチ風のオープニングに始まり、バラエティ豊かな犬キャラたちが画面狭しと活躍するさまは、日本製「わんわん物語」ともいえる楽しさ。遊園地を舞台とした緊迫の対決シーンはまさに名場面。

『ガリバーの宇宙旅行』写真

(c)東映

3月12日(水) 〜18日(火)

ガリバーの宇宙旅行

1965年(S40)/カラー/80分

■演出:黒田昌郎/監修:山本早苗、薮下泰司/脚本:関沢新一/音楽:富田勲/原画監督:古沢日出夫/原画:大塚康生、永沢詢、竹内留吉、月岡貞夫、小田克也、菊池貞雄、大田朱美、松原明徳、森康二
■声の出演:坂本九、本間千代子、宮口精二、堀絢子、小沢昭一、大泉滉

異色のSFファンタジー。ガリバー老博士とともに「青い希望の星」を目指す少年テッドの旅の行く手には、シュールな映像美と斬新なデザインのロボットたち、哲学的な問いかけを含んだ人々との出会いが待ち受ける。王女の正体が明らかになるラストシーンは、若き宮崎駿の主張により実現したという曰くつきのもの。要注目だ。

『サイボーグ009』写真

(c)東映

3月12日(水) 〜18日(火)

サイボーグ009

1966年(S41)/カラー/64分

■演出・脚本:芹川有吾/脚本:飯島敬/原作:石森章太郎/美術:沼井肇/作画監督:木村圭市郎/音楽:小杉太一郎
■声の出演:太田博之、内海賢二、曽我町子、藤村有弘、増岡弘、大竹宏、ジュディ・オング、石原良、鳥山京子、八奈見乗児

石ノ森章太郎の人気SF漫画を、「わんぱく王子の大蛇退治」の名匠・芹川有吾が映画化。サイボーグ戦士たちの活劇と悲哀、その両方が的確に描かれている。従来の長編よりも短かい約1時間の尺数、テレビ班を中心としたスタッフ編成など、テレビアニメ時代に合わせた新たな長編制作システムが模索された最初の作品でもある。

『ひょっこりひょうたん島』写真

(c)東映

3月16日(日) 〜22日(土)

ひょっこりひょうたん島

1967年(S42)/カラー/61分

■演出:薮下泰司/脚本:井上ひさし、山元護久/音楽:宇野誠一郎/作画監督:喜多真佐武
■声の出演:中山千夏、藤田淑子、増山江威子、江美京子、伊藤牧子、滝口順平、楠トシエ、小林恭治、熊倉一雄、藤村有弘

1964年よりNHKで放送され、大人気を博していたひとみ座のテレビ人形劇を劇場アニメ化。博士、トラヒゲ、ダンディ、ドン・ガバチョなどのレギュラーが、人形のイメージそのままに2次元キャラに描き起こされている。声優もテレビと同じメンバー。初期東映長編の中で唯一DVD化されていない幻の作品。一見の価値あり。

『太陽の王子 ホルスの大冒険』写真

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3月16日(日) 〜19日(水)、21日(金)、22日(土)

太陽の王子 ホルスの大冒険

1968年(S43)/カラー/82分

■演出:高畑勲/脚本:深沢一夫/音楽:間宮芳生/場面設計:宮崎駿/作画監督:大塚康生/原画:森康二、奥山玲子、小田部羊一、宮崎駿、大田朱美、菊池貞雄、喜多真佐武/美術:浦田又治
■声の出演:大方斐紗子、平幹二朗、市原悦子、三島雅夫、永田靖

高畑勲の初監督作品。深沢一夫の戯曲「チキサニの太陽」を、舞台を北欧に変えて大幅にアレンジ。人間と悪魔との戦いを軸に、団結の難しさと尊さを描ききっている。村民の暮らしを生き生きと丁寧に活写するこだわり、善悪の間で揺れる少女ヒルダの内面の掘り下げなど、従来の東映長編にはなかった幾つもの課題に挑んだ意欲作。

『長靴をはいた猫』写真

(c)東映

3月19日(水) 〜25日(火)

長靴をはいた猫

1969年(S44)/カラー/80分

■演出:矢吹公郎/脚本:井上ひさし、山元護久/ギャグ監修:中原弓彦/原作:シャルル・ペロー/美術:浦田又治、土田勇/作画監督:森康二/原画:大塚康生、奥山玲子、菊池貞雄、小田部羊一、大田朱美、宮崎駿、大工原章
■声の出演:石川進、藤田淑子、榊原ルミ、水森亜土、小池朝雄

シャルル・ペローの童話が原作。心優しく頭のいい猫のペロを中心に、少年ピエールと可憐なローザ姫のラブストーリー、魔王ルシファとの戦いなどが軽快なテンポで描かれる。後半、魔王のお城を舞台に展開する追跡劇は手に汗握る面白さだ。東映長編の代表作であり、ペロのキャラは東映アニメのシンボルになっているほど。

『空飛ぶゆうれい船』写真

(c)東映

3月19日(水) 〜25日(火)

空飛ぶゆうれい船

1969年(S44)/カラー/60分

■演出・脚本:池田宏/脚本:辻真先/原作:石森章太郎/美術:土田勇/作画監督:小田部羊一/原画:奥山玲子、菊池貞雄、金山通弘、大田朱美、森英樹、宮崎駿、阿部隆
■声の出演:野沢雅子、田中明夫、里見京子、岡田由紀子、名古屋章、納谷悟朗、富田耕生

石ノ森章太郎の「幽霊船」を原作としたSFスペクタクル。池田宏監督が社会派的なテーマを織り込み、大胆な脚色を行っている。特に、CMに踊らされる人々の愚かさを描いたボア・ジュースのくだりには、今の世にも通じる重要なメッセージがこめられている。宮崎駿が作画を手がけた魔神ゴーレムの都市破壊シーンも見どころ。

text by: 原口正宏