1月25日(日) 〜27日(火)

偽れる盛装

1951年(S26)/大映京都/白黒/102分

『偽れる盛装』写真

©1951 KADOKAWA

■監督:吉村公三郎/脚本:新藤兼人/撮影:中井朝一/美術:水谷浩/音楽:伊福部昭
■出演:京マチ子、藤田泰子、瀧花久子、村田知栄子、柳恵美子、北河内妙子、小林桂樹、河津清三郎、菅井一郎、進藤英太郎

次々と旦那を渡り歩き、祇園界隈で腕を鳴らす芸者・君蝶(京)と市役所勤めの妹(藤田)。対照的な二人の生き方を通じて、花柳界に生きる人々の愛憎こもごもが描かれていく。京都色街の風俗を鮮烈にうつしだした新藤兼人の脚本も秀逸な女性映画の逸品。

1月25日(日) 〜31日(土)

白鷺

1958年(S33)/大映東京/カラー/97分

『白鷺』写真

©1958 KADOKAWA

■監督・脚本:衣笠貞之助/原作:泉鏡花/脚本:相良準/撮影:渡辺公夫/美術:柴田篤二/音楽:斎藤一郎
■出演:山本富士子、川崎敬三、野添ひとみ、入江洋佑、佐野周二、信欣三、三宅邦子、細川ちか子、橘公子、角梨枝子

明治末期、傾いた家業のために芸者となった小篠(山本)は、一枚の絵を通じて若き画家に惹かれていく──。泉鏡花による花街小説の名作をもとに、技芸に秀でた大映スタッフが集結。豪華な画面とともに男女の悲恋物語が艶やかに立ち上る。

1月25日(日) 〜31日(土)

祇園の姉妹(きょうだい)

1936年(S11)/第一映画/白黒/69分

『祇園の姉妹(きょうだい)』写真

©1936 松竹株式会社

■監督・原作:溝口健二/脚本:依田義賢/撮影:三木稔/装置:今井恵一、堀口庄太郎、岸中勇次郎
■出演:山田五十鈴、梅村蓉子、志賀廼家弁慶、久野和子、大倉文男、進藤英太郎、深見泰三、いわま櫻子、滝沢静子、林家染之助

梅吉(梅村)とおもちゃ(山田)は仲の良い芸妓姉妹。義理人情に生きる姉に反発した気の強い妹が、男たちを打算的に利用しようとして…。初々しい山田五十鈴の魅力が存分に発揮。花柳界に生きる厳しさや哀感を、流麗な演出で織り上げた名篇。

1月28日(水) 〜2月3日(火)

芸者秀駒

1954年(S29)/ニッポン・プロ/白黒/87分 ※16mm

『芸者秀駒』写真

©北星

■監督:佐藤武/原作:菊田一夫/脚本:木村重夫/撮影:浦島進/美術:小島基司/音楽:古関裕而
■出演:日高澄子、小峰千代子、利根はる恵、小笠原弘、左幸子、鶴丸睦彦、美雪節子、御橋公、及川武夫、田中筆子、神田隆

戦後、苛烈を極めた造船の利権争奪戦。豪奢な宴のなか繰り広げられる買収工作に、女たちも巻き込まれていく──。財界幹部らが大量逮捕され、世間をにぎわせた造船疑獄事件。その関係者でもある売れっ子芸者・秀駒を主人公に描いた異色作。

1月28日(水) 〜2月3日(火)

四畳半物語 娼婦しの

1966年(S41)/東映京都/白黒/89分

『四畳半物語 娼婦しの』写真

©東映

■監督・脚本:成澤昌茂/原作:永井荷風/撮影:鈴木重平/美術:鈴木孝俊/音楽:杵屋花叟
■出演:三田佳子、露口茂、田村高廣、野川由美子、三島ゆり子、遠藤辰雄、岡崎二朗、木暮実千代、佐藤綾子、浦辺粂子、東野英治郎

一人の娼婦とスリに落ちぶれた男、待合の四畳半で燃え上がる一途な愛──。永井荷風「四畳半襖の下張」を成澤昌茂が大胆に脚色。東映女性文芸路線の萌芽がみられる作品で、しなやかな線で色香を漂わせる三田佳子がハマリ役。

2月1日(日) 〜7日(土)

初恋物語

1957年(S32)/東宝/白黒/68分

『初恋物語』写真

©TOHO CO.,LTD.

■監督:丸山誠治/原作:源氏鶏太/脚本:井手俊郎、浅川清道/撮影:鈴木斌/美術:浜上兵衛/音楽:團伊玖磨
■出演:山村聰、新珠三千代、林剛彦、夏川静江、大塚国夫、西条康彦、田中春男、河美智子、中村是好、左卜全

数年ぶりに故郷の地を踏んだ材木会社の社長(山村)は、芸者・雪千代(新珠)に恋した十七歳の日々を思い出す──。小さな漁村の風景が哀しくも美しい思い出に彩を添え、新珠三千代の柔和な物腰が叙情を引き立てる。清々しい余韻を残す青春映画。

2月1日(日) 〜7日(土)

情炎

1959年(S34)/大映東京/カラー/115分 ※16mm

『情炎』写真

©1959 KADOKAWA

■監督・脚本:衣笠貞之助/原作:川口松太郎/脚本:相良準/撮影:渡辺公夫/美術:柴田篤二/音楽:斎藤一郎
■出演:山本富士子、勝新太郎、船越英二、小野道子、阿井美千子、宮口精二、村田知栄子、町田博子、南左斗子、倉田マユミ

原作は毒婦といわれた花井お梅がモデルの「明治一代女」。柳橋の芸妓・小梅(山本)は、若手役者・仙枝(勝)を愛するゆえに、思わぬ事件を起こしてしまう──。衣笠貞之助とのコンビで益々磨きのかかった山本富士子の熱演がみもの。

2月4日(水) 〜10日(火)

幸福はあの星の下に

1956年(S31)/東宝/白黒/101分

『幸福はあの星の下に』写真

©TOHO CO.,LTD.

■監督:杉江敏男/脚本:八田尚之/撮影:完倉泰一/美術:中古智/音楽:早坂文雄、佐藤勝
■出演:木暮実千代、久保明、上原謙東郷晴子、岡田茉莉子、三好栄子、花井蘭子、伊豆肇、御橋公、十朱久雄、上田吉二郎、村上冬樹

女手ひとつで店を切り盛りする新橋芸者・八千代(木暮)は、二十年前、愛人との間に生んだ一人息子・紀幸(久保)のことが忘れられない。生みの母より育ての母を慕う頑なな息子と、芸者稼業に生きる母。二人の確執と愛情を描いた人情もの。

2月4日(水) 〜10日(火)

芸者小夏 ひとり寝る夜の小夏

1955年(S30)/東宝/白黒/105分

『芸者小夏 ひとり寝る夜の小夏』写真

©TOHO CO.,LTD.

■監督:青柳信雄/原作:舟橋聖一/脚本:梅田晴夫、宮内義治/撮影:芦田勇/美術:村木忍/音楽:飯田信夫
■出演:岡田茉莉子、杉村春子、志村喬、森繁久彌、一の宮あつ子、中北千枝子、沢村貞子、藤木悠、北川町子

世話を受けていた旦那に先立たれ、物思いに沈む夏子のもとに、援助を申し出る男たちが現れるが──。「夏子もの」として人気を博した舟橋聖一の連作小説を映画化。出会いと別れを経て、次第に女へと成長していく夏子を岡田茉莉子が好演する。

2月8日(日) 〜10日(火)

花ちりぬ

1938年(S13)/東宝京都/白黒/74分 ※英語字幕入り ○東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

『花ちりぬ』写真

©TOHO CO.,LTD.

■監督:石田民三/原作:森本薫/脚本:山本紫郎/撮影:町井春美/美術:加藤安英/音楽:伊藤宣二
■出演:花井蘭子、三條利喜江、一ノ瀬あや子、水上玲子、江島瑠美、林喜美子、堀越節子、里見良子、伊井吟子、成瀬富士子

母娘が営むお茶楼に、静かに忍び寄る幕末の騒乱。不安と焦燥、そして淡い期待が入り交じる──。男性は声のみという奇抜な演出により、明治維新直前の花街の空気を浮かび上がらせる。京都花街に縁の深い石田民三の代表作で、その手腕に唸る一篇。