この監督、この一本。スケジュールラピュタ阿佐ヶ谷

作品解説【1】 【2】 【3】 【4】


鈴木清順『河内カルメン』 5.30[日]−6.5[土]
1966年/日活/白黒/89分
■脚本:三木克巳/原作:今東光/撮影:峰重義/音楽:小杉太一郎/美術:木村威夫  ■出演:野川由美子、和田浩治、川地民夫、宮城千賀子、伊藤るり子、松尾嘉代


野川由美子の脂ののった存在感
“幸せなんてオンナだけのもんや”


河内の山育ちの娘が、もって生まれた肉体を利用して、欲にかられた男達と渡りあいながらたくましく生きる姿をエネルギッシュに描く。全編に“新肉体派”野川由美子の魅力が炸裂。清順の演出スタイルと相まって観客はただ圧倒されるばかり。



マキノ正博『男の花道』 6.2[水]−8[火]
1941年/東宝映画/白黒/73分
■脚本:小国英雄/撮影:伊藤武夫/音楽:鈴木静一/美術:中古智  ■出演:長谷川一夫、古川緑波、渡辺篤、千葉早智子、山本礼三郎、汐見洋、丸山定夫


活動屋マキノ、長谷川一夫を
女形に仕立てて勝ちにいく


「この肥えた体でやれるやろか」と渋る長谷川を女形に、 古川緑波との顔合わせで正月興行のヒットを狙う。太平洋戦争勃発にも撮影を敢行、マキノにとっての男の花道。題材は、中村歌右衛門と土生玄磧の物語。失明を救われた役者が眼科医の窮地を救う。



市川崑『プーサン』 6.2[水]−8[火]
1953年/東宝/白黒/98分
■脚本:和田夏十/原作:横山泰三/撮影:中井朝一/音楽:黛敏郎/美術:阿久根厳  ■出演:伊藤雄之助、越路吹雪、藤原釜足、三好栄子、小林桂樹、木村功、八千草薫


社会批判をブラックユーモアで包み
才能を世に知らしめた一本


横山泰三の漫画を大胆にデフォルメして、目のまわるような世の中の仕組みに右往左往する庶民の姿を風刺コメディとして完成させた逸品。しがないやもめ教師は、俗物政治家が苦境もなんのその、スイスイと世を渡っていくのを目の当たりにして…。



家城巳代治『雲ながるる果てに』 6.6[日]−12[土]
1953年/重宗プロ=新世紀映画/白黒/100分
■脚本:家城巳代治、八木保太郎、直居欽哉/撮影:中尾駿一郎、高山彌  ■出演:鶴田浩二、木村功、高原駿雄、沼田曜一、金子信雄、岡田英次、山田五十鈴


レッドパージで独立後、監督第一作
後戻りできない特攻隊の短い青春


「主観的には純粋でありながら、客観的には無駄であった特攻隊の死。その矛盾をとらえられたとき、初めて哀しさが無駄でなくなる」と家城自身は語る。 学徒航空兵の手記集をもとに鶴田浩二、木村功主演で映画化。



加藤泰『緋牡丹博徒 お竜参上』 6.6[日]−12[土]
1970年/東映京都/カラー/100分
■脚本:加藤泰、鈴木則文/撮影:赤塚滋/音楽:斎藤一郎/美術:井川徳道  ■出演:藤純子、菅原文太、若山富三郎、嵐寛寿郎、天津敏、沼田曜一、山岸映子、山城新伍


女だてらに渡世を生きる
血の華咲かせてみせましょう


『緋牡丹博徒』と言えば、やはり加藤泰。とりわけ本作は彼の演出がすみずみまで行き届き、藤純子の静と動の美しさが見事に焼きつけられている。藤と菅原文太の雪の今戸橋のシーンがあまりにも有名なシリーズ最高作。



工藤栄一『十三人の刺客』 6.9[水]−15[火]
1963年/東映京都/白黒/125分
■脚本:池上金男/撮影:鈴木重平/音楽:伊福部昭/美術:井川徳道  ■出演:片岡千恵蔵、里見浩太郎、嵐寛寿郎、内田良平、西村晃、丹波哲郎、月形龍之介、阿部九洲男、山城新伍


我慢も限界
悪い奴なら主君も討つ!


幕府の密命をおびた十三人の刺客が、暴君を抹殺するべく血のにじむ辛苦の末、木曽山中の宿場で壮絶な死闘を繰り広げる“集団抗争時代劇”。ラスト十数分の凄まじい殺戮戦は長く語りつがれること間違いなし。圧巻。