この監督、この一本。スケジュールラピュタ阿佐ヶ谷

作品解説【1】 【2】 【3】 【4】


豊田四郎『(ぼく)東綺譚』 6.23[水]−29[火]
1960年/東京映画/白黒/120分
■脚本:八住利雄/原作:永井荷風/撮影:玉井正夫/音楽:團伊玖磨/美術:伊藤熹朔  ■出演:山本富士子、芥川比呂志、新珠三千代、乙羽信子淡路恵子


美人女優・山本富士子で永井荷風もの
夢幻的な美しさをたたえて絶品


文芸作品の映画化で名高い豊田四郎が、永井荷風の同名小説を、原作よりも男の年齢を若くしてメロドラマに仕上げた。山本富士子は私娼街に生きながらあくまで明るく、客の青白いインテリ・芥川の無気力な姿に色気が漂う。



吉田喜重『嵐を呼ぶ十八人』 6.23[水]−29[火]
1963年/松竹京都/白黒/108分
■脚本:吉田喜重/撮影:成島東一郎/音楽:林光/美術:大角純一  ■出演:早川保、香山美子、松井英二、岩本武司、木戸昇、殿山泰司、根岸明美


働き、暴れまわりながらも生きていく
時代を浮き彫りにする鬼才の眼


瀬戸内の造船所を舞台に、悪ったれ野郎どもがたくましく生きる様を鋭くとらえ、従来の労働者映画へ批判をこめる。十八人の若者には一般公募の素人を起用。エピソードを丁寧に重ねて、高度経済成長期の社会から疎外された人間の姿をあらわにした。



古沢憲吾『ニッポン無責任野郎』 6.27[日]−7.3[土]
1962年/東宝/カラー/86分
■脚本:田波靖男/撮影:飯村正/音楽:宮川泰/美術:小川一男  ■出演:植木等、団令子、ハナ肇、草笛光子、谷啓、浦辺粂子、藤山陽子、由利徹


“真面目な野郎は損をする”
エスカレートする無責任パワー!


前作『ニッポン無責任時代』のヒットを受け製作された続編。無責任ぶりはさらにエスカレートし、 天性のはったりとおとぼけで、スイスイと世の中を渡っていく姿がエネルギッシュに描かれる。無駄がない、理屈がない、勢いでただ押しまくる古沢演出が炸裂する。



神代辰巳『四畳半襖の裏張り』 6.27[日]−7.3[土]
1973年/日活/カラー/72分
■脚本:神代辰巳/原作:永井荷風/撮影:姫田真佐久美術:菊川芳江  ■出演:宮下順子、江角英明山谷初男、丘奈保美、絵沢萠子、芹明香


禁断の秘め事描いて核に迫る
その感性がロマンポルノで花開く


花街の料亭で情事を重ねる芸者たち。密室で展開する男女の色ごとにじっくりとカメラを据えながら、大正という時代を描きだした日活ロマンポルノの代表作。 むし暑い夏の夜、薄暗い蚊帳の中から浮かびあがる宮下順子の汗ばんだ肌が艶やかに光る。



稲垣浩『嵐』 6.30[水]−7.3[土]
1956年/東宝/白黒/108分
■脚本:菊島隆三/原作:島崎藤村/撮影:飯村正/音楽:深井史郎/美術:北猛夫、植田寛  ■出演:笠智衆、山本廉、大塚国夫、久保明、雪村いづみ田中絹代、加東大介


子育てに奮闘する笠智衆
“時代劇の名手”による現代劇


島崎藤村の小説を稲垣浩が人情劇風に。妻に先立たれた大学教授が、男手ひとつで子どもを育てていく二十年の記録。なれない子育てと研究生活の両立はなかなか難しく苦労の連続…。子供をひきとるたびに、笠智衆がしめす愛情と戸惑いのエピソードがよい。