はじめの第一歩 −映画監督50人の劇場デビュー作集

■ 作品解説 / / / /

6月1日(水)〜4日(土)、8日(水)〜11日(土)

死ぬにはまだ早い

1969年(S44)/東宝/カラー/82分

『死ぬにはまだ早い』写真

©TOHO CO.,LTD.

■監督:西村潔/原作:菊村到/脚本:石松愛弘、小寺朝/撮影:原一民/美術:阿久根巌
■出演:黒沢年男、緑魔子、高橋幸治、江原達怡、田村奈巳、小栗一也、若宮大祐、草野大悟、石田茂樹、伊藤久哉

不倫カップルが立ち寄った小さなドライブインに兇悪犯が乱入、客を人質に立て篭もる──。東宝ニューアクションの牽引者、西村潔の野心作。菊村到の小説『閉じこめられて』をもとに、物語のほとんどが店内で展開するスリリングな密室劇。

6月1日(水)〜7日(火)

斬り込み

1970年(S45)/日活/カラー/88分

『斬り込み』写真

©日活

■監督:澤田幸弘/脚本:永原秀一/撮影:高村倉太郎/美術:坂口武玄/音楽:鏑木創
■出演:渡哲也、扇ひろ子、藤竜也、沖雅也、岡崎二朗、郷鍈治、杉良太郎、青木義朗、曽根晴美、中村竹弥

長谷部安春、小澤啓一とともに日活ニューアクションを支えた澤田幸弘、会心のデビュー作。組織の倫理に翻弄され、使い棄てられる下っ端の虚しさと哀しさ、そして怒り。郷鍈治、藤竜也、岡崎二朗ら若手スタアによる新しい現代やくざ映画の登場。

6月1日(水)〜7日(火)

かぶりつき人生

1968年(S43)/日活/白黒/94分

『かぶりつき人生』写真

©日活

■監督・脚本:神代辰巳/原作:田中小実昌/撮影:姫田真佐久/美術:大鶴泰弘/音楽:真鍋理一郎
■出演:殿岡ハツエ、丹羽志津、玉村駿太郎、中台祥浩、名取幸政、市村博、堺美紀子、花恵博子

特出しストリッパーの母。その職業を忌み嫌いながらも同じ道を歩む娘。裸で稼ぐ母娘の愛憎をこれがデビューの神代辰巳がドライに描く。興行的失敗により四年間の沈黙を余儀なくされるが、ロングショットでの長回しなど、らしさも随所にみうけられる。

6月5日(日)〜11日(土)

不良少女 魔子

1971年(S46)/日活/カラー/83分

『不良少女 魔子』写真

©日活

■監督:蔵原惟二/脚本:藤井鷹史、黒木三郎/撮影:山崎善弘/美術:木村威夫/音楽:鏑木創
■出演:夏純子、戸部夕子、美波節子、太田美鈴、岡崎二朗、小野寺昭、清宮達夫、宍戸錠、藤竜也、深江章喜

暴力団の庇護の下、やりたい放題のズベ公グループが、マリファナ密売をめぐって組織とトラブルに──。監督は蔵原惟繕の実弟、蔵原惟二。ロマンポルノ移行前の日活最後の作品として、併映『八月の濡れた砂』とともに記憶される70年代青春グラフィティ。

6月5日(日)〜7日(火)

オリオンの殺意より 情事の方程式

1978年(S53)/日活/カラー/73分 ○国立映画アーカイブ所蔵作品

『オリオンの殺意より 情事の方程式』写真

©日活

■監督:根岸吉太郎/原作:勝目梓/脚本:いどあきお/撮影:森勝/美術:菊川芳江/音楽:浅岡典史
■出演:加納省吾、山口美也子、亜湖、戸浦六宏、根岸明美、高橋明、古川哲唱

横暴な父を憎む男子高校生が、若く美しい継母への想いを日記に綴り始める──。勝目梓原作『オリオンの殺意』の映画化。思春期の少年が父殺しに向かう姿を淡々と描き、きらめくばかりの斬新な映像感覚を発揮したのは当時二十七歳の根岸吉太郎。

6月8日(水)〜14日(火)

きつね

1983年(S58)/松竹、霧プロダクション/カラー/104分

『きつね』写真

©1983 松竹株式会社

■監督:仲倉重郎/脚本:井手雅人/撮影:坂本典隆/美術:浜野信男/音楽:千野秀一
■出演:岡林信康、高橋香織、三田佳子、原田大二郎、浜村純、野村昭子、小林哲子、矢野宣、阿藤海、山谷初男

美しく苛酷な北海道の自然を背景に、不治の病に冒された少女と中年科学者の儚い純愛が綴られる。井手雅人が「愛娘の死」という体験にもとづき、その想いをこめて脚本を完成。野村芳太郎、斎藤耕一、加藤泰の助監督をつとめた仲倉重郎が監督にあたる。

6月8日(水)〜14日(火)

女囚701号 さそり

1972年(S47)/東映東京/カラー/87分

『女囚701号 さそり』写真

©東映

■監督:伊藤俊也/原作:篠原とおる/脚本:神波史男、松田寛夫/撮影:仲沢半次郎/美術:桑名忠之/音楽:菊池俊輔
■出演:梶芽衣子、扇ひろ子、渡辺やよい、横山リエ、三原葉子、根岸明美、夏八木勲、渡辺文雄

欲望と暴力渦巻く女子刑務所で「さそり」は自分を裏切った男への報復に燃える──。篠原とおるの人気劇画を伊藤俊也が自ら脚色、様式美あふれる映像でまとめあげた。梶芽衣子の個性もみごとにいかされ、伊藤作詞の主題歌『怨み節』も大ヒットを記録。

6月12日(日)〜18日(土)

玉割り人ゆき

1975年(S50)/東映京都/カラー/64分

『玉割り人ゆき』写真

©東映

■監督:牧口雄二/原作:三木孝祐、松森正/脚本:田中陽造/撮影:塩見作治/美術:園田一佳/音楽:渡辺岳夫
■出演:潤ますみ、森崎由紀、八木孝子、奈辺悟、川谷拓三、北村英三、大下哲矢

娼妓たちに性のテクニックを伝授する「玉割り人」ゆき。女でありながら女を捨てた彼女の運命は、ある男の登場で大きく変わっていく──。劇画原作によるポルノ路線の枠組みながら、しっとりとした情緒を漂わせユニークな新人・牧口雄二を印象づけた。

6月12日(日)〜18日(土)

天使のはらわた 赤い眩暈

1988年(S63)/ニュー・センチュリー・プロデューサーズ/カラー/74分

『天使のはらわた 赤い眩暈』写真

©日活

■監督・原作:脚本:石井隆/撮影:佐々木原保志/美術:細石照美/音楽:THE FLY
■出演:桂木麻也子、竹中直人、小林宏史、山内ゆうほ、江崎和代、木築沙絵子、泉じゅん、柄本明

恋人に裏切られた看護婦と自暴自棄になった元証券マン。二人の束の間のふれあいと悲劇的結末。原作劇画の提供や脚本執筆を通して多くの映画に携わってきた石井隆が初メガホン。おなじみ「名美と村木」の物語に「夜」「雨」という欠かせないモチーフも。

6月15日(水)〜18日(土)

喜劇 女は度胸

1969年(S44)/松竹/カラー/90分

『喜劇 女は度胸』写真

©1969 松竹株式会社

■監督・脚本:森﨑東/原案:山田洋次/脚本:大西信行/撮影:高羽哲夫/美術:熊谷正雄/音楽:山本直純
■出演:倍賞美津子、河原崎建三、渥美清、沖山秀子、花澤徳衛、清川虹子、有島一郎

羽田空港の騒音が響くどぶ川べりの下町。粗野なトラック運転手の兄と純情な弟、二人のちょっとした誤解がスッタモンダの大騒動へ──!庶民のバイタリティ、男の頼りなさ、女の逞しさ。人情喜劇ならぬ、森﨑東独自の「怒劇」をみごとに開花させた。

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