10月4日(日) 〜6日(火)

私刑(リンチ)

1949年(S24)/新東宝、竹井プロ/白黒/88分 ◯東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

『私刑(リンチ)』写真

©国際放映

■原作:大坪砂男/脚本:小澤效/撮影:河崎喜久三/美術:下河原友雄/音楽:服部正/助監督:萩原章
■出演:嵐寛壽郎、花井蘭子、久我美子、池部良、進藤英太郎、小堀誠、清川荘司、田中春男、東野英治郎、清川玉枝

やくざから足を洗う条件で清吉は金の阿弥陀像を盗み出すが…。昭和初年と民主的な戦後の二つの時代を活写する“教育的”配慮に満ちた任侠映画。中川監督と嵐寛寿郎が組んだ最初の作品である。久我美子のアプレな歌手姿が世相を体現。

10月4日(日) 〜10日(土)

怪談累が渕
(改題版『“怪談累が渕”より 怪談かさねが渕』での上映)

1957年(S32)/新東宝/白黒/66分 ※16mm

『怪談累が渕』写真

©国際放映

■脚本:川内康範/撮影:平野好美/美術:小汲明/音楽:渡辺宙明/助監督:石川義寛
■出演:若杉嘉津子、和田孝、北沢典子、丹波哲郎、花岡菊子、阿部寿美子、中村彰、横山運平、宮田文子、田原知佐子、岬洋二、川部修詩

ある雪の夜、貸金の返済を求めた按摩宗悦は旗本の深見新左衛門に殺害されてしまう。それから20年、因果はめぐる。三遊亭圓朝「真景累ヶ淵」に基づく秀作。中川信夫が初めて古典的怪談に挑んだ作品で、71年にはテレビでも演出した。

10月7日(水) 〜13日(火)

右門捕物帖 片眼狼

1951年(S26)/新東宝、綜藝プロ/白黒/80分 ※16mm

『右門捕物帖 片眼狼』写真

©国際放映

■原作:佐々木味津三/脚本:豊田榮/撮影:河崎喜久三/美術:梶由造/音楽:鈴木静一/助監督:萩原章
■出演:嵐寛壽郎、柳家金語樓、花井蘭子、進藤英太郎、鳥羽陽之助、渡邊篤、星美千子、杉山昌三九、中村是好

海賊の町、その巣窟へ現れた片眼の風来坊の狙いは──。中川監督が初めて手がけた「むっつり右門」はエノケンも特別出演するミュージカル仕立て。酒場の大セットに横溢する遊び心と、お吉(花井蘭子)の恋心がせつない異色作。

10月7日(水) 〜13日(火)

女吸血鬼

1959年(S34)/新東宝/白黒/78分 ※16mm

『女吸血鬼』写真

©国際放映

■原作:橘外男/脚本:中沢信、仲津勝義/撮影:平野好美/美術:黒沢治安/音楽:井内久/助監督:石川義寛
■出演:天知茂、和田桂之助、池内淳子、三原葉子、中村虎彦、杉寛、和久井勉、五月藤江、鮎川浩、矢代京子

さよならクリストファー・リー、ウエルカム・バック・シゲル・アマチ!天知茂没後30年に再臨する本邦初の本格吸血鬼映画。一寸法師役者・和久井勉が走る!海坊主の晴海勇三は沈む!あれが島原の地下城だ!これが大藏新東宝だ!

※素材情報訂正のお知らせ
チラシ掲載情報に誤りがございました。『女吸血鬼』は16mmでの上映です。お客様にはご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。

10月7日(水) 〜17日(土)

妖艶毒婦伝 お勝兇状旅ニュープリント

1969年(S44)/東映東京/カラー/84分

『妖艶毒婦伝 お勝兇状旅』写真

©東映

■原案:高橋猛/脚本:高田宏治、山本英明/撮影:山沢義一/美術:藤田博/音楽:河辺公一/助監督:三堀篤
■出演:宮園純子、梅宮辰夫、北上弥太朗、名和宏、大信田礼子、河野秋武、伊藤久哉、安部徹、沼田曜一、沢淑子

御禁制の煙草で暴利を貪る田代重太夫一派に家族と青春を奪われたお勝は復讐の鬼と化す。剣また剣の妖艶毒婦伝シリーズ最終第3作で、中川監督のメジャー会社での最後の映画となった。河辺浩市(公一)のエネルギッシュな音楽も印象的。

10月11日(日) 〜13日(火)

虞美人草

1941年(S16)/東宝映画東京/白黒/88分 ○東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

『虞美人草』写真

©TOHO CO.,LTD.

■原作:夏目漱石/脚色:櫻田半三/撮影:三浦光雄/装置:河東安英/音楽:早坂文雄/製作主任:森一
■出演:高田稔、霧立のぼる、伊藤智子、江川宇禮雄、花柳小菊、勝見庸太郎、花井蘭子、北澤彪、嵯峨善兵

35年の溝口健二版に続く映画化。麗人藤尾の虚栄の恋を軸に、道義の観念の黄昏を映し出す。中川監督が漱石の墓に断酒を誓って演出した力作で、戦前最後の作品となった。脚色の櫻田半三は倉田文人監督(同じく生誕110年)の仮名である。

10月14日(水) 〜17日(土)、21日(水) 〜24日(土)

東海道四谷怪談

1959年(S34)/新東宝/カラー/76分

『東海道四谷怪談』写真

©国際放映

■原作:鶴屋南北/脚本:大貫正義、石川義寛/撮影:西本正/美術:黒沢治安/音楽:渡辺宙明/助監督:石川義寛
■出演:天知茂、北沢典子、若杉嘉津子、江見俊太郎、中村竜三郎、池内淳子、大友純、林寛、花岡菊子

1959年6月8日午後8時クランクアップ、撮影実数23日、セット9ステージ、オープン2杯、伊豆ロケ1泊2日、中川信夫54才、天知茂28才、7月1日封切、第13回日本映画技術賞(美術・黒沢治安)受賞、世界映画史に名を刻む傑作。

text by 長谷川康志(酒豆忌実行委員)